宝塚の事件と劇団の対応に思うこと

ヅカ独りゴト
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すでに書きかけて終わらせるばかりになっている投稿がふたつばかりあるのですが、どうも最終的に手を付ける気にならないのは、最近の「宝塚」という文字の入ったニュースで暗い情報ばかり読んでいるからかもしれません。

昨日は宝塚大劇場の雪組公演午前の部が中止になったと聞き、歌劇団はもうこのまま沈黙を守る時期ではないと僕も思います。

全国に知れ渡った劇団の内情

宝塚歌劇は僕が観劇していた50年前から、舞台を踏む生徒さんたちにとっても熱烈なファンにとってもかなり閉鎖的で特殊な空間ではありました。そして、一部のひとたちが楽しむエンタメだというのが「観劇に興味のない一般の人々」の認識だったと思います。

今回の生徒さんの自殺によって、一気にゴシップ記事が「宝塚」で埋め尽くされ、その内情が次々と暴かれるようになりました。内部を知るひとたちのタレコミもあれば、想像の範囲でしかないことをさも「実際にあったこと」であるかのように書く記事もあります。

たまに見る「にほんブログ村」の最新記事もそのニュースばかりで、メディアのゴシップでしか宝塚に接することのない人々と違い、熱心なファンがいかに心を痛めているかがうかがえます。

2年前のヘアアイロン事件から

事件に関しては今まで自分自身の感想を一切述べていませんでしたが、秘書と話してから少々考えが変わりました。

ヘアアイロンなるものはもちろん僕には未知の道具であり、使ったこともありません。でも、周りには若い女性たちもいるので秘書のひとりに聞いてみたところ…

「よく使うけれど、結構熱くなるので気をつけないと火傷しますし、長時間当てすぎると髪が縮れて切れてしまうこともあります」などと恐ろしいことを言っていました。

「火傷は特に角度が問題です。髪に挟んでいるところではなくて、横のアイロン部分が危ないんです。ちょっと当たっただけでも赤くなってそのあとは茶色。人にやってもらう?とんでもない。加減がわからないでしょうから、美容院以外ではやってもらおうとは思いません」

ここらへんは僕には何を言っているのかはっきりわかりませんが、顔の柔らかい皮膚のすぐ近くで熱い鉄棒を使うのは「たぶん危ないだろう」ということはわかります。

天彩峰里が「強引にヘアアイロンを当てた」として、しかも「すぐに謝罪しなかった」というのは被害者の真実です。上級生が「やってあげる」と言ったら拒むのは難しいでしょうし、「あら、ごめんなさい」ぐらいは言ったかもしれませんが、茶色く痕が残ってしまった被害者にとっては十分ではなかったでしょう。

ただし、これは2年前に起こった「氷山の一角」でしかありません。比喩ですが、氷山は水面に出ている部分よりはるかに大きな部分が水面下にあるという意味です。
その前に起こったこと、それ以後に起こったことがパワハラとして蓄積され、しかも長時間労働での精神的肉体的疲労が彼女の苦痛を限界まで押しやってしまったのかもしれません。したがって、名前のあがっている上級生たちのみを非難するのは片手落ちではないかと思います。彼女らにも言い分はあるでしょう。パワハラとされた部分は、被害者の遺族会見では詳しく述べられていますが、宝塚側では「パワハラは認められなかった」とするだけで、詳細はありませんでした。つまり、名前のあがった生徒さんたちには一切の弁明の機会さえ与えられていないのです。

たとえ名前のあがった生徒さんたちを匿名にしても、せめてどんな聞き取りが行われたのか、そしてどんな弁明または謝罪があったのか、劇団側は詳細に公開するべきだと思いました。「聞き取りをした」「パワハラはなかった」だけでは、これだけ遺族側からの(または内部事情に詳しい人たちからの)詳しいパワハラの実態を記した週刊誌の記事に対応できていないのです。「生徒たちを護るため」という感想も読みましたが、これでは全く「護る」とは反対の結果を招いているとしか言えません。

いじめ・パワハラの認定

前の記事にも書きましたが、いじめとパワハラの告発は海外でも次々とニュースになっています。ハリウッドではそのニュースのために職を失ったり、刑を宣告されたりした有名人も沢山います。

いじめとパワハラ(セクハラを含む)は、オーストラリアでも忌むべきものとされ、今では被害者として声をあげるひとたちが増えています。ハラスメントは法律で厳しく制限されていて、5年以下の禁錮もありうる「犯罪」なのです。

変わって日本には「パワハラ防止法」というものがありますが、ここでは罰則は全く定義されていません。懲戒規定は企業にゆだねられ、もし規定がない場合またはパワハラの言動・行為が「企業の内部において判断が難しい」場合は、「パワハラの認定は難しい」という結果になります。つまり、これが現在の劇団側が主張している立場です。

そして裁判になった場合、原告が遺族側であるので、パワハラを受けた本人の真実認定にこれまた時間がかかり、裁判は結果的に長引きます。

僕は法律の専門家ではありませんが、オーストラリアでの数々の事件をみるにつけ、加害者となった生徒さんたちは匿名にしても、劇団が直接真摯な謝罪と詳細な報告を公にするべきだと思います。その間、3ヶ月でも6ヶ月でも(膨大な)赤字覚悟で舞台を完全にキャンセルし、弔意を表することで遺族側に納得してもらうしかありません。

劇団はもうこのような悲しい事件が起こらないように内部改革を徹底し、ファンのためにも早期解決を目指さなければならない時期にきていると思います。

 

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