ひとつ前の記事からの続きです。
席に座ってまずプログラムを開いたときに、「誰だろう、この男役は?」と思いました。最後に観た月組のDVD「アーサー王伝説」は2016年の作品です。それから観ていないのですから当然と言えば当然ですが、僕は風間柚乃という生徒を全く知りませんでした。まだ現在研5という若さですから、2016年には研2ぐらいか。
抜擢に次ぐ抜擢で風間柚乃が頭角を現してきたのはその後でしょうから、名前さえ知らなかった僕はその3人目の水兵の写真を見ながら納得したのでした。
故夏目雅子の姪らしいですが、今夏目雅子なんて知っているひとがどのくらいいるのでしょう。彼女が亡くなったのは1985年ですよ…風間柚乃は覚えていないどころかまだ生まれてもいないはず。今回彼女についての記事を色々と探しましたが、出てくるのは「夏目雅子の姪」「田中好子の義理の姪」ばかりで、正直もう少し彼女自身の舞台の実力について書いてほしいと思いました。
芝居については、他の方々が書いているように新人とは思えないほどの存在感を漂わせています。そして、何よりも声がいい。滑舌もよく、会場の隅々まで響き渡るその声は歌でも発揮されていました。ただし、この海外ミュージカルの楽曲が難しい音階を使っているのはわかりますが、それでも高音と低音に少々乱れが生じていました。それはこれからの課題かもしれません。低音がきちんと出せる男役はそうそういませんから。
それでも、2017年「All For One」新人公演のクリップで悪役を演じたときの風間柚乃を見たときには、歌はそれほど上手とも思えなかったのに、今回はずいぶんと上達していました。これがまた宝塚観劇の面白さなのだと言えます。
また風間柚乃は小柄ながら、よく下級生に見られるような心もとない姿勢を見せません。むしろ真ん中の腰に「バネの芯」のあり、手足がその筋肉質のバネによって自由自在に動きます。ダンスが得意な暁千星の細く長い手足を使った軽やかな動きではなく、男性のダンサーによくある「足が地についた筋肉の動き」が見えるようで、僕は彼女から目が離せませんでした。
こんなダンスをする俳優がかつていたなあ、と頭の中を探してみたら往年のジーン・ケリーでした。ジーン・ケリーはよくフレッド・アステアと比較されますが、なるほど彼はアステアの軽やかで上品で流れるような動きとは違い、時には荒々しくそしてやはり「腰のバネ」を使った躍動的なダンスで有名だったのです。
こういう逸材はどんなふうに育っていくのでしょうね。楽しみです。
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