2019年月組「クルンテープ 天使の都」宝塚らしい美しく華やかなレビュー

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さて、前回の出張で沢山買ってきたDVDとBDを観劇し始めました。
まずは月組の「夢現無双」と「クルンテープ」から…と思いましたが、「無限無双」は辛口の感想ばかりになりそうなので、詳しくは割愛します。時々こういう作品があるのですが、全体的に地味。宮本武蔵の人生をさらりと追っているだけで起伏が単調、佐々木小次郎がなぜ十字架をつけているかの説明もなく、恋愛事情もとってつけたようです。心の声は要りませんね…。

ということで、今回はとても楽しかった「クルンテープ 天使の都」について。

実はあんまりカッコよかったので、輝月ゆうまのニューハーフについてはひとつすでに記事を書いています。

輝月ゆうまは何を演っても舞台で光っている稀有な「別格男役」に違いない
さて、前回の出張で沢山買ってきたDVDとBDを観劇し始めました。 まずは月組の「夢現無双」と「クルンテープ 天使の都」を観ましたが、今回先にどうしても書いておきたいことがひとつ。輝月ゆうまです。 別格男役としての輝月ゆうま 宝塚用語というの...

そんなわけで輝月ゆうまに関しては、どうぞ上記の記事をご覧ください。

 

美しい新トップ娘役:美園さくら

暗闇からいきなり華やかな色の洪水で始まる「クルンテープ」は、まるで日本物のチョンパのようでした。

これが新コンビお披露目となった美園さくら。
音程のしっかりとした美しい歌声で華やかに登場し、タイ風のゴージャスな衣装もとてもよく似合っていますね。

僕は彼女が初めて珠城りょうとコンビを組んだときの「オン・ザ・タウン」東京公演を観ていますが、今回は華やかな宝塚らしいレビューで彼女の違う一面を見る思いです。「オン・ザ・タウン」のときはミュージカルですから、少々出番が少なく感じられましたので。

2019年正月に月組「オン・ザ・タウン」でノスタルジックな75年前に
はい、そうです。 いきなり東京にいました。正月休みで、今回は出張ではありません。 最後の宝塚観劇は去年の1月でしたから1年も前です。今回は少し時間があったので「ファントム」を観たかったのですが、チケットが取れませんでした。 でも月組をまだナ...

しかし、バンコクのゴーゴー・バーのような場面は…うーん、僕の好みではありません。それに僕の大好きな鳳蘭の歌「セ・マニフィーク」が、アレンジのし過ぎで軽快ではありますがむしろケバケバしく、オリジナルの華やかな宝塚の雰囲気が失せてしまったように感じられました。これは現在の宝塚レビューでは必ず出てくる現代風と言うかJポップ風と言うか、リズムと音程のせいで歌詞が聴きづらく、せっかく歌の上手い美園さくらと男役たちが出ているのに、残念ながら楽しめませんでした。

 

珠城りょうの真紅のスーツと暁千星の金色のホットパンツ

珠城りょうを中心とした真紅のスーツ姿の男役群舞は迫力があって素敵でしたが、あの帽子を取って長い髪を見せるというのは…なくてもよかったと思います。

率直に言ってあまり似合っていませんでしたし、何よりも長い髪を見せれば「女」という安易な設定に少々失望しました。

が、それとは対照的に、ナイトクラブの四角関係では、ほんの少し今までの「男役の演じる女役」とは違う金色のホットパンツとショートヘアの暁千星が出てきて、こちらのほうがインパクトが強かったです。やはりダンスの上手い彼女の足は長くて筋肉質ですね。ほっそりすらりというのとは少々違いますが、なかなかセクシーではありました。

 

美弥るりかの黒燕尾姿とターバンに腕まくりの男役群舞

タイ風の鮮やかな色の衣装が多かった舞台とは打って変わり、唐突に宝塚正統派の黒燕尾で登場した美弥るりかには、会場で涙したファンも多かったことでしょう。

ここはやはり黒燕尾以外には考えられないということで、美しい立ち姿にほうとため息が出ました。

そのあとは、珠城りょうを中心としたターバンに腕まくりの黒燕尾群舞。
安寿ミラの振り付けですが、少々趣向が変わっていておもしろかったです。やはりタイ風と言っていいと思いますが、そう言えば蝶ネクタイもない。カジュアルな黒燕尾ですね。

デュエットでは、珠城りょうの優しい仕草と眼差しに応える美園さくらの姿が何とも美しく、お披露目にふさわしい一曲となっています。これを見るだけでも幸せになれそうな雰囲気です。

しかし、今の宝塚で相手役をこれだけブンブンと振り回せる力強さでは珠城りょうの右に出る男役はいませんね。

 

華やかなおもちゃ箱のような舞台

クルンテープとはタイ語で「天使の都」という意味で、つまりバンコクのことですが、その天使の都の雰囲気をよく表現したレビューでした。

最初はレビュー全てがタイ風で大丈夫かなと思いましたが、様々なタイ風のダンス、結婚式、ムエタイ、幻想的な創作ダンスなどがふんだんに織り込まれていて、その中でも群舞やデュエットで宝塚らしさを失わない楽しいレビューとなっています。

ミュージカルも芝居も大好きですが、僕はこのレビューこそが宝塚を宝塚たらしめる舞台ではないかと思っています。

だから、レビューの幕が降りると僕は足取りも軽やかに(そして、周りのひとたちのウキウキとしたおしゃべりを聞きながら)劇場を後にするのです。

 

 

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