僕は大浦みずきのファンだった…ということを、ここ数ヶ月で何度も何度も思い出しました。
それはお茶会に行ったりファンレターを書いたりグッズを買ったりということではなく、今の僕が北翔海莉のファンだと自認するのと同じようなものかもしれません。大浦みずき以前は安奈淳でしたから。
大浦みずきが癌で亡くなったのは知っていました。僕が宝塚からすでに離れていた2009年ですが、それでもニュースで読んで衝撃を受け、「僕の宝塚ファン時代はこれで終わってしまったのだな」と思いました。海外にいたこともあり、華やかな宝塚歌劇の観劇に戻ることも考えませんでした。
「大浦みずきが1992年ニューヨーク公演で見せたもの」という題で記事を書いたのが2ヶ月ほど前、自己紹介を別にすれば、これが僕の最初の「懐かしい宝塚」についてのブログ記事です。
僕はそこで彼女のニューヨーク公演について書いていますが、実はリンダ・へーバーマンの宝塚振り付けはこれが最初ではありませんでした。その前年に上演された花組「ザ・フラッシュ!」でも、同じく大浦みずきの振り付けを担当していたからです。「Dancing to Benmy Goodman」という一場のダンスです。
安寿ミラと真矢みきを従えた大浦みずきが、柔らかい微笑みを浮かべながら「いとも簡単そうに」ベニー・グッドマンのビッグバンドジャズの調べに乗せて踊っています。この場面では2曲休みナシです。宝塚の振り付けとは明らかに違っていますし、どちらかというとアメリカ風のジャズダンスですね。帽子の使い方も洗練されています。
僕は安寿ミラと真矢みきのダンスがヘタだというつもりはないのですが、大浦みずきの四肢と指先の自然で優雅な動きに比べると、華のあるテクニックだけが目立ちます。
細かいことですが、彼女はこのダンスに限り「ダンス用の低ヒールの柔らかい靴」を履いているようです。他の場面を確認したら、やはり普通の男役用7cmほどのヒールを履いていましたから。このダンス場面に賭ける大浦みずきの意気込みが想像できます。
僕はこの舞台を観ているはずなのですが、YouTubeで動画を観るまで細部を忘れていました。そして、大浦みずきのダンスがどれだけ人々を魅了したかということも。
YouTubeには公演全編もアップされていましたが、こちらではなぜかベニー・グッドマンの2曲目が落とされていてほとんど無声でダンス画面のみです。たぶんオリジナルがDVDのため、著作権の関係で音声が許されなかったのだと推測します。
さて、大浦みずきはよく「宝塚のフレッド・アステア」と呼ばれていましたが、この彼女の「優雅なダンススタイル」のためなのでしょう。こちらのフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの有名なダンスシーンでは、タップダンスと普通のダンスとの違いはありますが、彼の動きがどれだけ優雅だったかわかると思います。
余談ですが、フレッド・アステアはよくジーン・ケリー(雨に唄えば)と比較されますが、ジーン・ケリーの巧みでダイナミックなダンスは、それでもフレッド・アステアの優雅さの前では彼の迫力さえ霞んでしまったと言われています。
そう言えば、大浦みずきの代表作としてはあの有名な羽山紀代美振り付けの「タンゴ」があります。何度も再演されて様々な男役スターたちが挑んでいますが、この話はまたの機会に。
極めて私的なお知らせ:(たかがメモのようなブログで「お知らせ」というのも非常におこがましいのですが…)
今まではブログでも宝塚ファンとしていも初心者だからということで、最初のうちは2日置きに更新するのを楽しみにしていました。ただし、この後少々本業のほうが忙しくなる予定で、とても2日という自分に課したスケジュールを続けるわけにはいかなくなりそうです。
DVDやネットで鑑賞しながら感想を書くのもこれからは1週間に1度ぐらいかなと思っています。
「にほんブログ村」に登録してから様々なブログに巡り会えて、勉強させてもらったり、新たな宝塚生徒について紹介してもらったり、とても楽しかったです。そして、何よりも記事へのコメントや拍手コメントを沢山いただき励みになりました。ありがとうございます。僕以外にもオールドファンが多いことも嬉しく、安心しました。
そんなわけで、昔の宝塚を思い出しながらこれからも少しずつ書いていきたいと思っていますので、更新頻度は落ちますが、どうぞよろしくお願いします。
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コメント
ご存知だとは思いますが、
ヅカメン便り様の念願だった
嬉しいニュース「ガイズ&ドールズ」のBlu-rayとDVD発売決定です。
北翔海莉さん素晴らしかったですよ。
楽しみが増えてよかったですね。
私的に悲しいニュースは、十輝いりすさんが退団される事です。
専科に残ってくれるものだと思っていました。
私は先日大劇場で宙組のShakespeareと今日、梅田芸術劇場で花組のErnest in Loveを観劇しました。
最近ヅカメン便り様に教えて頂いた、情報が余りにも興味深く、楽しんでいます。
今は、大浦みずきさんのダンスとノバ・ノサ・ノバに夢中です。
とっち。さん、
いえいえ、知りませんでした!
ガイズ・アンド・ドールズのDVDが出るんですね。いやあ、なんと嬉しいことでしょう。アマゾンでも販売してくれるといいんですが。先日もDVDを取り寄せたばかりです。
十輝いりすさん、退団ですか。先日のLOVE&DREAMでは「薔薇のタンゴ」などでとてもいい見せ場のあった男役でした。姿も美しかったです。残念ですね…。一回しか彼女の舞台を観られませんでした。
とっち。さんは、関西にお住まいなんですね。色々観劇ができて羨ましいです。
北翔海莉、みっちゃんが「アステアのようになりたい」とよく言うので、何も知らなかった私はアステアを、どんなイケメンかと期待しながら、ググりまして。髪の毛を七三に分けてぴったりくっつけたおじ様の画像に、本当にのけぞってしまいました。今でも、思い出し笑いしてしまいます。みっちゃんのおかげでいろんな世界を見せてもらっています。
トップハット、パリの恋人、アステアおじ様のダンスに感動しましたが、この映像も素晴らしいですね!
大浦みずきさん、ダンスの名手だったと、聞き知ってはいましたが、初めて映像をしっかり見ました。品、でしょうか・・。また楽しみを見つけてしまいました。ありがとうございます。
ゴジラさん、
以前書いた記事にもコメントがつくのは嬉しいです! ありがとうございます。
大浦みずきは本当に大好きでした。男役としてキラキラと輝いていたひとです。
彼女の舞台化粧はとても上手で、普段の顔がかなりすっきりしていたことを考えると、舞台映えのする顔だったのでしょう。同じような顔では瀬奈じゅんがいますね。今度はタカラジェンヌの顔と化粧の今昔も書こうかな。
6月9日、ヤマハホールの「シャンソンの黄金時代〜昔聞いたシャンソン〜」に行ってきました。
高汐巴さんと若葉ひろみさんが『セ・ラ・ヴィ』(「琥珀色の雨にぬれて」より)を歌われましたが、帰りのエレベーターの中で「ジゴロのなーちゃんが後ろに見えるようだった」と涙声でおっしゃる方が何人もいらっしゃいました。
2年前にヅカ戻りした当初、過去映像漁りで最初に出会ったのが大浦みずきでした。
もともと小説家・詩人の阪田寛夫の読者で、娘さんがタカラジェンヌになったのは知っていましたが、この人だったのか・・・とビックリしました。
中野の生家で「大浦みずき追想展」が開かれているのを知り、雨の中出かけていったのも懐かしい想い出です。その際なつめさんのお姉様にもお目にかかり、いろいろお話を伺いました(お姉様の「なつめ自慢」が微笑ましかったです)。
宝塚歌劇は京阪神のブルジョワジー文化と切り離せないものなんですね。
ご存じかもしれませんが、このサイトに退団後のなつめさんのタンゴについて詳しい情報が載っています。
http://www.10tango.com/
検索欄に「大浦みずき」と入れると10本ほど記事が見つかります。なつめさんが病をおして踊った最後のタンゴも観られます。
盤竜さん、こんばんは。
高汐巴と若葉ひろみですか! いいなあ、シャンソン。
大浦みずきは、僕はナマで見ていた男役トップですから、本当に懐かしいです。
退団してからは僕もそろそろ宝塚から離れるころだったので、あまりよく知りません。タンゴをしていたのですか。すぐにサイトに飛んで見ていて、ああこのひとは病をおしても踊っていたかったのだろうなと切なくなりました。
情報をありがとうございます。