「THE ENTERTAINER」は、暗く青い舞台での北翔海莉の静かな歌から一転して華やかな色の洪水、羽根扇の使い方も洗練されていて最初からその華やかさに酔ってしまいました。まるでラスベガスのショーのようです。普通ならフィナーレで使われるような舞台設定で、新しい試みだと思います。日本物だとチョンパで古くからありますが、それを取り入れたのかもしれません。
そして102期生たちの初々しくも元気いっぱいなロケットへと繋ぎます。102の人文字が印象的です。ピンクの衣装も初々しさを感じさせます。僕は一生懸命な若い初舞台生たちの笑顔と爽やかなダンスを見ると、何だかいつも親の心境でジーンと来てしまいます。この中から誰が頂点への階段を登ることができるのでしょうか。
ラインダンスが終わると、舞台はそのまま田舎から出てきたミッチェルという、派手で変なファッションの青年の「成長物語」としてのストーリーへと変わります。オーディションを経て散々コケにされた彼のもとに現れたのが、「巨大な」二人のエンジェル、イリス・マーベラスとマギー・ワンダフル。彼女らの助けで様々なレッスンを受けるという演出です。
初日映像を観たときに書きましたが、やはり星条海斗のおみ足の美しさに見とれました。男役の「隠された脚」には、それがたまに現れたときの美しさを衝撃的にする魔力があるようです。(あ、これは僕が男だからか)
僕が東京宝塚劇場に通い続けていた80年代には、ほとんどの男役トップが一度はショーでダルマ姿になっていましたが、これは最近ではあまり見ません。男役の生徒さんたちが、普段でもスカートを履かなくなってしまったのと同じくらいの時期のことかもしれません。これはやはりスカイステージで普段の生徒さんたちの姿が詳しく紹介されるようになったからでしょうか。
舞台がはねた後食事に行く男役の生徒さんがドレス姿に着替えていたのは、あのころ遠くのほうでこっそりと出待ちをしていた若い僕も幾度となく見ています。安奈淳もそうでした。
閑話休題。
さて、そのミッチェルのレッスンですが、最初に出てきたのが礼真琴の歌とダンス。いや、上手いです。こういうふうに自分の喉を自由自在に使って様々な歌を表現できるのは、星組では北翔海莉以外では礼真琴が1番目立っています。歌もさることながら、そのキレのよいダンスが素晴らしいです。帽子使いもサマになっていて、隣の北翔海莉に引けをとりません。
北翔海莉退団後の星組で目が離せない路線スターだと思います。
さて、当の北翔海莉ですが、尼僧姿から不謹慎にも悩ましいドレスに早変わりの妃海風と懐かしいスィングジャズを披露してくれます。どちらも歌唱力に長けているので素晴らしいデュエットになりました。いや、この二人は本当に相性のよいコンビだと言わざるをえません。
その後は紅ゆずるの進行役に合わせて様々な美しい男たちが登場。少々滑舌が悪いのか意味がわからない部分があり、映像の常で何度かチェックして確認しました。もう少しインパクトのあるスッキリした衣装のほうがよかったかな、というのが僕の感想です。
そして、真打ちのフラメンコ登場。ここは本当にカッコイイです。確か北翔海莉は普段からフラメンコのレッスンを受けていると聞いたことがありますが、そのレッスンの成果と言いましょうか、とにかくキレがよく素晴らしい姿勢の良さと手指の隅々まで計算され尽くした動きが美しいです。
しかし、あれだけ激しい動きのフラメンコの後で、ソロの歌が歌えるというのはスゴイですね。どれだけ整えようとしても息が切れるのは当然だと思いますが、それをものともせず歌い上げるのであっけにとられてしまいました。このひとのパワーにはいつもビックリさせられます。LOVE&DERAMのときのシナーマンもそうですが、その底知れないパワーに観客は魅せられてしまうのです。こういうときには、映像でしか観られなかったということが本当に残念です。北翔海莉が作り上げた見せるひとたちと見せられるひとたちの一体化した会場の雰囲気というものは、とても映像で体感できるものではないからです。
長くなってしまったので、「あの」美しい黒燕尾の場面は次の記事に回すことにします。
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コメント
こんばんは
私 この「THE ENTERTAINER!」で20年ぶりに宝塚には戻ってきてしまいました。
その前に 「ガイズ」と「源氏物語」も見ていたのですが それほど深みにはまることなく また見れたらいいな・・・くらいでした。
何の情報もなく見に行った「こうもり」の舞台。
まず ショーの構成がものすごくよくって 好みだったのです。
どうしても もう一度見たくて1週間後に一人で見に行きました。
まずチョンパっていうのですか。
カーテンが開いた状態から静かに始まり みちこさんの歌が響き渡ります。
初めの方に出てくるロケットダンスが斬新な感じがしました。
そしてストーリーのある 一場面一場面の構成に魅了されました。
野口幸作先生の初めての大劇場作品ということですが 素晴らしいですね。
今から思えば 北翔海莉の歌とダンスあっての作品だということがよく分かります。
もう最後だということが分かっていたのか みっちゃんの魅力がてんこ盛りです。
最初見たときは まさか 赤ちゃんやジェイソン博士をトップさんンがやっているとは思わず 「アドリブが凄いね 誰だろう」と友達と話してたのです。
私が見たときは ジャンボ宝くじのネタで「今日が最後の大安よ。買わなきゃ夢は買えないのよ!あなた夢は何なのよ!?」というようなふりで ベニーさんタジタジ・・・
(宝くじさんが協賛さんだったみたいです。)
もしかしたらよくあることなのかもしれませんが 役名がミッチェル、イリス・マーベラス、マギー・ワンダフル、ベニー・カメレオンと 皆さん 愛称や舞台名にちなんでついているのがいいなと思いました。
それから北翔海莉ってどんな人か調べまくり 知れば知るほど好きになって 今に至ります。
私 安奈淳さんの舞台はTVでしか知らないのですが 榛名由利さんとの「ベルばら」のレコードは持っていました。
物凄い人気だったのですよね。
確かに昔は トップさんはショーで女装(?)して 2番手さんとデュエットダンスしてましたね。
さえぽんさん、こんにちは。
そうなんです。北翔海莉はスルメなんです。噛めば噛むほど味わい深い舞台を提供してくれます(笑)。
女装の話ですが、そう言えば「雨に唄えば」では北翔海莉はリナちゃん役でしたね。あのスゴイ声の。膝丈スカートも履いていたようで、見たかったなと思いました。
こんにちは
いつも楽しく拝読させていただいてます。
1曲目から気持ちを持っていかれてしまいます。
ただただ楽しい。そんなショーですよね。
サヨナラ公演であるロマンスについて、初見の際は単純にTHE ENTERTAINERと比較してしまい、イマイチという感想を持ってしまったほどです。
(言われるように見れば見るほど味があるので評価は良い方に変わりましたよ)
それにしても、どこで息を整えてるのでしょうか。
あれを生で演じていることに違和感すらある位、ただただ脱帽です。
好きでよかったと思える女優さん、
僕は歴が短いので次にこのような気持ちになれる方が現れるか不安です。
大丈夫です。
私も「オペラどろぼ~」と心の中で叫びながらマギーさんのおみ脚にクギづけでした
女性にとっても魅力的なおみ脚でございます
今、殿堂で
オープニングで北翔&妃海&紅が持っていたケーンを持たせていただけます
精一杯ナデナデくるくるしてきました
改めてDVD観ると、一層楽しめる今日このごろです♪
SPさん、こんばんは。はじめまして。
「THE ENTERTAINER」は本当に素晴らしいレビューだと思います。
僕はどちらかと言うと「こうもり」より心酔してしまいました。
サヨナラ公演の「ロマンス!」はまだ観ていないので比較しようがないのですが、妃海風とのデュエットがないそうで少々残念です。千秋楽のさよならショーではもしかしたら…と願っていますが。DVDになるとしたらサヨナラショーも入れてくれますよね。
いやー、僕も北翔海莉が退団したらどうしようかなと悩んでいます…。
よーこさん、こんばんは。
やっぱり女性でもオペラグラスでじっくり目の保養をされましたか。そうですよね、美しいんですから。
殿堂にはケーンが、というのは知りませんでした。行きたいなあ、一生に一度。
今のところは、早く「One Voice」と「桜華に舞え」のDVDが出るのを祈るような気持ちです。