「ノバ・ボサ・ノバ」はその後1976年に再演されましたが、その時のソール役は安奈淳でした。僕が見たのもこの公演です。残念ながら、今となってはあまり覚えていませんが。
映像は周りの生徒たちの顔もわからないくらい粗悪ですが、それでも安奈淳の迫力ある歌声と雰囲気はそのまま残っています。この前年にベルばらでオスカルを演っていますから彼女の絶頂期ですね。汗の飛び散る様子と、最後のダンスの場面で光るヘアバンドをむしりとって踊り続ける安奈淳に、当時の熱狂的な舞台を今でも想像することができます。
長い時を経て、1999年には雪組(ソール役:轟悠)と月組(ソール役:真琴つばさ)で再演されています。二組で競い合うような形です。
雪組の轟悠のシナーマンは、何でもソツなくこなす彼女ならではの歌声で、案外さらりとしています。上手いのですが、迫力という点では肩透かしを食らわされたような思いが残ります。
そして、このまま終わらずにフィナーレにはラインダンスと大階段が加えられています。僕はYouTubeの映像で見ただけですが、いかに「宝塚的」とは言え、この踊り狂うフィナーレにもうひとつのフィナーレを追加する必要があったのかどうか、少々疑問です。
月組の真琴つばさのシナーマンは、キザな姿で有名だった彼女の男臭くてカッコイイ様子が見られます…が、迫力の点ではどうも物足りなさを感じてしまいます。フィナーレはやはりラインダンスと大階段の追加があります。
そして、最後にノバ・ボサ・ノバが上演されたのは2011年星組のものでした。ソール役は当時飛ぶ鳥を落とす勢いの柚希礼音です。
歌が苦手だったとのことですが、ここで彼女もソツなくソロをこなしています。動きも大胆で美しいです。そして驚いたことに、40年たった舞台で彼女は安奈淳の振りを再び舞台に戻すことにしたようです。幕が閉まる直前、やはり光るヘアバンドをむしりとって踊り続けたからです。この所作は1999年の轟悠と真琴つばさのバージョンでは消えていました。
また、僕は例のごとくYouTubeで観劇しただけですが、幕が閉まってそのまま終わっているように感じられました。ラインダンスと大階段を加えたヘンテコな1999年バージョンをオリジナルに戻したようです。…が、本当のところはナマの舞台を観ていないのでわかりません。どなたか教えていただけないでしょうか。
さて、僕はこの記事を書くために4つの時代の違う「ノバ・ボサ・ノバ」を全て通して観劇しました。時間はかかりましたが、本当のところとても楽しかったです。
そして、シナーマンに関してはやはり安奈淳に軍配をあげたいと思います。
映像はザラザラですし録音も悲しいほどのクオリティーです。それにもかかわらず、息を整えたり、肩で息をしたり、唇を舐めたり、といったひどく生々しい彼女のソロには、なぜか息づかいさえ感じられるほどの色気と迫力があるのです。それは、僕が見たナマの北翔海莉に匹敵するほどのオーラを伴っていました。
ただしこれは僕の感想であり、他のファンの皆さんは違う思いを持たれるかもしれません。特に柚希礼音の2011年版は見たひとも多いでしょうし、また最近の舞台撮影のせいで映像も音声もはるかに鮮明ですから。
北翔海莉のシナーマンについてはすでに先日の「LOVE&DREAM」の記事で書きましたので、ここではもう一度感想を述べることはしません。でも、僕が北翔海莉バージョンに心酔しているのはすでに明らかです。
DVDを出してもらえないかなあ、と切に願っているんですが…。でも、考えてみたら星組トップお披露目から3作がすでに上演されていますが、そのうち星組全員が出演したのは「ガイズ&ドールズ」のみであるにしろ、どの作品もDVD化されていません。つぎの作品もオリジナルのある「こうもり」ですから、もしかしたらこれもDVDにならないということでしょうか。ずいぶんだなあ。
いずれにしろ、北翔海莉の「ノバ・ボサ・ノバ」が上演されることはまずないでしょうから、改めて何か「彼女のための新作ヒット」を当ててほしいと思います。そのぐらいは今まで長いこと待たされた北翔海莉へのせめてものプレゼントになるでしょうから。
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コメント
こんばんは。いつも楽しみに読ませて頂いてます 機会があれば霧矢大夢の新人公演のシナーマンも1度見て下さい。感想お聞きしたいです。
こんにちは、くりこさん。
霧矢大夢が新人公演でソール役だったのですか!ということは1999年の当時真琴つばさが本公演をしたときですね。
彼女のシナーマン…聞いてみたいです。実はくりこさんのコメントを見たあとでネットで探してみたのですが、どこにもありませんでした…。残念。
どなたかYouTubeにクリップだけでもアップしていただけたら嬉しいんですが。
ノバボサ大好きです。
元々、安奈さんのファンなので初演のノバボサのマール神父が好きでした。水城玉藻さんのシスターマーマとの掛け合いが面白くて・・。
安奈ファンなのに、シナーマンはスータンのが刷り込まれてます。
私だけかもしれませんが。
今回、このように取り上げてくださったので、久しぶりにスータンのシナーマンを聴く事ができました。
スータンのシナーマンは安奈さんのとは違う味わいでしたが、凄かったです。ノバボサの前に、シャンゴやラブラブラブなどありましたので、
スータンのエンターテイナーぶりは抜きん出ていると感じていました。
でも、安奈淳ファンです。
きりやんのシナーマンは全く新公とは思えませんでしたよ。素晴らしかったです。ニコニコ動画というので見たことがあります。
残念ながら、今回のみっさまの公演を見ていないので、とても後悔しています。DVD発売希望です。
はじめまして。
あまりにも共感したので初めてコメントさせていただきます。
安奈淳さんのノバボサノバは、ベルばらで彼女のファンになり、母にねだって(子供でしたから)初めてムラで生で観た作品でした。鴨川先生が初日の前夜(だったかな?)お亡くなりになり、彼女の魂の叫びのようなシナーマンに感動したのを、今でも昨日の事のように覚えています。
NHKで放送されたものをカセットテープに吹き込んで、擦り切れるまで聞き、どこでどう息を継いでどのくらいのばしたか、今でも覚えているほどです。
月と雪の再演も観ましたが、残念ながら違和感が拭えず。
大好きな柚希礼音さんのノバボサノバも10回以上通いましたが、それでもシナーマンだけは私の中では「ごめんなさい!違うの!」と。
あ、変なフィナーレはついてません、オリジナルに戻ってましたよ。
そしてLove&Dreamでノバボサノバから3曲も。それだけでも涙ものでしたが。
音咲いつき君からのシナーマン!
今まで安奈淳さんのシナーマンを超える人はいないと、ああいう歌唱をする人はいないのかと、思ってましたが…
北翔海莉さんがこたえてくれました涙
あれは本当に感動して、涙が溢れて止まりませんでした。
最近、やはり安奈淳さんのノバボサノバをYouTubeで見て感動したと、何人かのブロガーさんが書いていらして、やっぱり素晴らしい歌声は時代が変わってもみんなを感動させてくれるのだとあらためて思ったしだいです。
ステキなブログをありがとうございました。
こんばんは。初めてコメントさせていただきます。
安奈淳さんのノバ・ボサ・ノバを当時NHKで放送されたのを観て子供心に大変衝撃を受けました。
ベルばらブームで宝塚歌劇団は知っていましたが、ベルばらとは全く違う、シナーマンからのフィナーレでの興奮、そして何か物悲しい気持ちになるミュージカルショーでしたね。生で観られなかったのが残念です。早速レコードを買って毎日聞きました。
親にねだってやっと東京宝塚劇場に連れて行ってもらった時には安奈さんは卒業間近だった…と。(T_T)
私も昨年から36年振りの返り咲き宝塚ファンです。
ノバボサのレコードをヤフオクで買って聞いています。
柚希礼音さんのノバボサは映像でみましたが、物悲しくはなりませんでした。柚希さん大好きですが。
安奈さんの動画、画質は悪いですが私には記憶が補正してくれます。ラスト近く画面の3分割。NHKさすがいい仕事しています!アップも引きも見たいですから。
蛇足ですが先日小田原での安奈さんと平みちさんのシャンソンライブに行ってきました。安奈さん、艶のある声がとても響いていました。100周年祭典の時よりもずいぶんとお元気そうでした。
男性目線の宝塚ブログ、これからも楽しみに読ませていただきます。長々と失礼いたしました。
カオリンママさん、
コメントをありがとうございます。
真帆志ぶきのノバ・ボサ・ノバをご覧になったのですね!なんと羨ましい…。彼女は独特の容姿と歌唱スタイルですよね。安奈淳はとにかく色気があります。僕の大好きなスターでした。
霧矢大夢のノバ・ボサ・ノバ新人公演はニコニコ動画だったとは。ありがとうございます。早速探してみたらありました…が新人公演インタビューなので舞台映像は後ろに少しあるだけで、鑑賞するまでには至らなく残念。でも、上手いですね!
僕もLove&Dreamは是非DVD化してほしいと思いますが、さてどうなることか。
青き薔薇さん、
コメントをありがとうございます。
この記事を書いたら、往年ファンが今も宝塚を観ていることに気づいてとてもうれしく思っています。
僕はやっぱり安奈淳のファンなのですね。書いているうちに次々と思い出します。
それから、柚希礼音の星組ノバ・ボサ・ノバは付け足しフィナーレがなかったのですね!いやはや、あのフィナーレはもうホントに付け足しという他はなく、最新のノバ・ボサ・ノバでオリジナルに戻ったことを知ってほっとしています。
北翔海莉のシナーマンは、もうあらゆるひとたちがその素晴らしさを書いていらっしゃるし、僕も新参者として記事を書いたし、あとはDVDだけですね!あの感動をもう一度…!
はらぺこさん、
コメントをありがとうございます。
やはり安奈淳のシナーマンですか! あれからほとんど40年もたっているのに覚えていらっしゃる方が多くてビックリしています。息の長い(または再び戻った)宝塚ファンが沢山いらっしゃることにも。
そうです、あの「物悲しさ」がなぜかノバ・ボサ・ノバの素晴らしさなのかもしれません。あれだけインパクトの強い宝塚独自のショーは今までなかったと言ってもいいと思います。故鴨川清作の傑作です。
できればもう少し鮮明な映像が残っているといいんですけどね。NHKで再放送してもらえないでしょうか…。
安奈淳は今もコンサートで活躍しているとネットで読みました。
人生色々あった彼女がまだ艶のある声を聞かせてくれることを知って嬉しいです。
はじめまして。
『宝塚 ノバボサノバ シナーマン』で検索してみたら、
この記事に行き当たりました。
2016年の記事に、コメント、失礼します。
私は、現在35歳なのですが、
シナーマンは、日向 薫で再生されます(笑)
1991年のTMP音楽祭の第一部のラスト、
日向さんがシナーマンを歌っていたからです。
この記事で、初めて柚希さんのシナーマンも聴きました。
ソウルフルですね。
私は、子どもの頃の思い出補正が入っているので、
日向さんのシナーマン、次いで轟さんのシナーマンが好きです。
北翔さんのも聴いてみたいなぁ・・・。
ニコニコ動画探してきます。
では、失礼いたしました。
星降 かなたさん、
ほう。日向薫のシナーマンですか。僕はまだ聴いたことがありません。
1991年と言ったらまだ僕が見ていたころですね。どこかに動画があるか探してみます。
ありがとうございました。