ポスターへの疑問

ヅカ独りゴト
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久しぶりに「にほんブログ村」に行ってみたら、星組新トップお披露目公演「スカーレット・ピンパーネル」のポスターの話で盛り上がっていますね。僕もさっそく見てきました。

他の公演のときにも思いましたが、どういうプロの写真家が撮っているのか、レイアウトもアングルもいい加減なものが多いような気がします。いや、それは宝塚にかぎらず、石丸幹二と安蘭けいが主演した外部公演の「スカーレット・ピンパーネル」でも同じようなものです。

何と例えたらいいのか、よくオーストラリアでもコインで買える二束三文の三流映画DVDのカバーによくあります。ぼやけていたり、ツギハギの写真をありあわせで組み合わせていたり、フォトショップの使い方が甘かったり。

今回の場合は、紅ゆずるのトップお披露目公演です。
せっかくのお披露目写真なのに、なぜかそれ以前の「スカーレット・ピンパーネル」のポスターのほうがはるかに美しく見えます。初演の安蘭けいと再演の霧矢大夢のポスターですが、なぜでしょう。(こちらのブログで4枚のポスターが比較できます)

http://blogs.yahoo.co.jp/nayamerudonbuta/66029126.html

僕はそれはもしかしたら、紅ゆずるの顔をアップにし過ぎたからではないかと思いました。

他のポスターの場合は、剣を上手く使って躍動感を出していますが、紅ゆずるの場合は顔のアップに申し訳程度の小道具で剣が添えられています。ゴチャゴチャしすぎているのです。彼女の上目遣いもその剣がジャマをしてオドオドした雰囲気さえ醸し出しています。

熱烈ファンにとってはご贔屓の顔のアップは嬉しいものかもしれませんが、どうもこれでは凛々しさがうかがえません。せっかくの大作の再演なのだから、もう少し新トップを引き立たせるような構図をとれないものか、とため息が出ました。

まあ、「たかがポスター」かもしれません。
実力とオーラで観客との「舞台の共有感」を作り上げることに比べたら、ポスターなど「お知らせ」以外の何物でもないのですから。

 

 

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コメント

  1. にゃん魚 より:

    タカラヅカ版の3枚では、安蘭けいの初演ポスターがダントツに優れていると思います。
    まず、人物の表情がそのまま物語を反映しています。パーシー(安蘭けい)の寄せた眉と少し開いた口、マルグリット(遠野あすか)の憂いとプライドの混じった眼差し、ショーヴラン(柚希礼音)の企みを秘めた口元(口角がちょっと上がっている)。三人三様の表情が物語の関係性を示唆して、愛と裏切りをめぐる物語だとすぐにわかります。
    パーシーとマルグリットが背中合わせになっており(背信を示している)、それを窺うショーヴランという配置もよく考えられています。
    構図は右上から左下に、斜めに人物が配されています。手前から奥に人物が配されているため奥行き感,立体感があります。サーベルが人物配置を区切っていますが、その位置がパーシーとマルグリットの間というのも象徴的です。
    パーシーの高く上がった黒革の手袋をした手は、闘いの最中のようにも見えます。サーベルの影が背景に強めに映っていますが、その影が戦う相手のサーベルのようにも見えます。しかしそれは自分の影で、パーシーが戦っている相手はじつは自分自身なのだと暗示しています。マルグリットに対する信と不信がパーシーの中で戦っているのです。
    さらに黒革の艶と黒い影、左上の(敢えて)不自然に残した余白が緊迫感を盛り上げて、ワクワクするスリルを感じさせます。
    この初演ポスターと再演ポスターには白抜きでキャッチフレーズがついています。
    初演では縦書きで
    「ブロードウェイの興奮が、宝塚の舞台に舞い降りる。」
    再演では霧矢大夢の顔のすぐ脇に
    「この胸に、ひとかけらの勇気を。」
    初演キャッチのメッセージはずばりそのまま「アチラで話題のブロードウェイミュージカルが日本に上陸するよ、宝塚でやるよ」、それだけ。これはふだん宝塚を見ない人たちに向けたキャッチフレーズです。キャッチフレーズでそれだけしか言わず、ヅカファンが知りたい物語の骨格と感情については写真と構図でたっぷりと語る——みごとな分業です。
    デザインに話を戻すと、右上・縦書きのキャッチフレーズのスペースと、左下・配役の縦長長方形のスペースがきちんとバランスを取るように計算されています。どこまでも行き届いた、たいへん緻密なデザインだと思います。
    再演になると,ストーリーはヅカファンはみんな知っています。安蘭けいの歌った「ひとかけらの勇気」の素晴らしさも知っています。再演のこのキャッチフレーズは、名作再演のプレッシャーと闘う霧矢大夢の独白のようにも読めます。
    再演は構図も固いですね。とくにシンメトリーのマルグリットと二人のショーヴラン。マルグリットは人形みたいな棒立ち、ショーヴランはその左右で、腰に手を宛てて立っているだけ。3人とも何の動きもなく、表情も無表情です。アートディレクターはポスターに載せなければいけないスターを破綻なく配置しただけで、何かを物語ろう、伝えようという意志はなかったように思えます。モチベーション低いなあ。
    大浦みずき、轟悠の頃でしたか、宝塚のポスターデザインを横尾忠則がやっていたことがありました。横尾ワールドにスターさんたちが散りばめられたポスターはなかなか面白かったですが、それは私が当時タカラヅカに興味がなかったためかもしれません。
    ポスターの完成度と舞台の完成度は相当な割合で比例するのではないかと思っています。よいポスターの舞台はたいてい外れません。
    長々と失礼いたしました。

  2. zukamen より:

    にゃん魚さん、こんばんは。
    ひとつひとつのポスターについての詳しい解説をありがとうございました。
    そこまで見ていなかった僕などは恥ずかしい限りです。
    横尾忠則が宝塚のポスターをつくっていたのですか?
    見てみたいです。。
    しかし「ポスターの完成度と舞台の完成度は相当な割合で比例するのではないかと思っています。よいポスターの舞台はたいてい外れません」とは…。うーん、今回のポスターはハズレだと僕は思っていますが、さて本公演のほうはどうなるんでしょうね。