2017年花組「雪華抄」ー年の始めにふさわしい華やかな舞台

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どうも花組には縁があるようで、夏の出張の折に東京宝塚劇場で観たのも花組「ミー・アンド・マイガール」でした。そう言えば、去年の1月にン十年ぶりに初めて観た「LOVE&DREAM」が今となっては懐かしいです。あのときの国際フォーラムでは今「オーム・シャンティ・オーム」が同じく星組で上演されていて、トップが変わってからのプレお披露目公演だそうですね。残念ながら、時間がとれず今回は見送ることになりました。

さて、実は今月の一時帰国で「エリザベート・ガラ・コンサート」のあと、ほんの少し空いた午後にまた「すべりこみ観劇」を果たしています。それが花組の「雪華抄」「金色の砂漠」でした。

ギリギリセーフの日にも何とか予定外のチケットは取れるものだな、というのが正直な感想です。

花の踊りはヨーイヤサー♪のチョンパで僕だけではなく回りからも「わあ」とどよめきがあがりました。真っ暗な会場から「チョン」の拍子木の音で一転する華やかで色とりどりの舞台。わかっていてもこれにはいつも感激してしまいます。

春夏秋冬の四季が次々と色鮮やかに繰り広げられる舞台は圧巻です。演出の原田諒の説明の通り、まさしく「すべては花のもとに見た春の日の夢」でありました。宝塚の日本物はまばゆいばかりの衣装と舞台芸術に支えられて、豪華絢爛たる歌と踊りの絵巻を拡げてくれます。中央に立つ明日海りおは日本人形のように輝くばかりの美しさです。

プロローグの他には、特に「第三場 鷲と鷹」の踊りが印象に残っています。衣装も美しく、音楽もドラムとギターという現代的な楽器の音が不思議とよく似合っていました。明日海りおと柚香光の美丈夫二人が、なめらかな羽の羽ばたきと戦いをダイナミックに表現していました。

しかし、日本物が結構好きな僕は、どうしてもいつも足元に目が行ってしまいます。軽やかな裾捌きとすっと止まる足先の緊張に惹かれるからです。そんなわけで、苦言を少々。

明日海りおの上げ底足袋が少々気になったのです。小さすぎるのかその上にカカトが出っぱってしまい、どうも不自然です。足袋というものはきっちりと足に張り付くように履かなければならないので、その足袋にシワがよっている様を見てほんの少し興ざめしてしまいました。ひとつひとつの仕草が全てそのまま絵になるような非常に美しい男役なのに、ただひとつ残念だったと思います。

さて、日本物と言えば必ず登場する懐かしい松本悠里です。「第二場 花椿」は比較的ゆっくりとした舞での独演でした。優雅な手首の軽やかな動きで、扇が優雅にハラハラと落ちる椿の花びらを表現していて、昔のように魅了されました。それでもやはりオペラグラスで覗けばお年の感じられるお顔、不覚にも胸にジンと来て喉がつまってしまいました。年月の流れを感じます。自分も年を取ったということでもありますが。

「第五場 波の華」は海にちなんだ民謡メドレー。青天の若衆たちがいなせに歌う民謡に心が踊ります。

花組には確かな歌の実力を持つ明日海りおの後ろに、美しい男役たちが続いているのがわかります。芹香斗亜、鳳月杏、瀬戸かずや、柚香光、そして水美舞斗。安定した歌を聞かせてくれるひとたちもいて、頼もしいです(…が、歌っている歌詞が全くわからないひとも中にはいて、発声・滑舌のさらなる修練をお願いしたいとも思いました)。

「第六場 清姫綺譚」では、蛇と化した清姫が安珍とともに炎に包まれたあと、静かな雪景色となります。花乃まりあに赤い着物が良く似合い、蛇となったあとの怖さとの対比となっています。ここで銀橋に出てきた雪の歌手、切々と歌い上げた美しい声の持ち主でした。名前を知らなかったので、あとで調べてみると「和海しょう」であることがわかりました。星組の夏樹れいのような扱いなのでしょうか。これからもう少し注目していきたいと思います。

最後は桜の花の舞う豪華なフィナーレで、あまりの豪華さにため息が出ました。
45分という短いショーでしたが、流れるように進む場と軽快なリズムで非常によくまとまっています。

僕は幕が閉じたあとの余韻を、ひとりメモ帳とプログラムで記憶を辿りながら楽しんでいました。

このオリジナル曲メロディーは鼻歌が出そうなくらい、DVDが出たらひとまず買うことに決めました。…実は、このあとの「金色の砂漠」をもう一度観たいからでもあるのです。

次の記事は、その「金色の砂漠」についてです。

 

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コメント

  1. よーこ より:

    ヅカメンさん、お久しぶりです
    ・・・ここにも底上げ足袋の魔が・・・
    高いヒールは男役スターの宿命かもしれませんが、日本物では興醒めですね、残念。
    そして、和海しょうさん
    以前、スカステで「Music Family 」という番組があって、それの第5回で歌ってた「ノートルダム・ド・パリ」の歌がとっても素敵で、惚れました
    彼女は14年花組のエリザベート新人公演では北翔さんの演じたフランツを演じています
    何かの番組で北翔さんが「新人公演のフランツは和海さんに演って欲しいと思ってたから決まった時は嬉しかった」という事を言っていた記憶があります
    北翔さんも認める歌心って感じでしょうか♪
    因みに、その番組で共演している桜一花さんも素敵な歌姫さん
    14年エリザでゾフィーを見事に演じて退団されています
    同じ回で彼女の歌うロミジュリの乳母の歌もお見事
    機会があれば是非観て聴いていただきたい番組です

  2. zukamen より:

    よーこさん、こちらこそお久しぶりです!
    和海しょうについての情報をありがとうございます。
    そうでしたか。。。新人公演でフランツ・ヨーゼフを。それは知りませんでした。
    なるほど、なるほど。
    (どこかに新人公演の映像がないか、探してみます。)
    ロミオとジュリエットも観たい舞台のひとつになりました。
    ありがとうございます。

  3. ペン吉 より:

    雪華抄をご覧になったのですね。
    私も昨日観劇しまして、ヅカメンさんご指摘の「足袋」に注目してみました。
    しかし男役はほとんど全員の足袋の中に何かが入っているように見えます。かなり背の高い生徒さんも、上げ底まではいかないまでも厚めのソールを履かれていました。
    日舞とはかなり違う振り付け上、普通の足袋のままだと不便なのでしょうか。
    そしてご指摘の通り、みりおさんは一回り小さいサイズのラッキー足袋でしたね。ただ3センチもあがっていないのではないでしょうか。
    効果のほどは疑問です。
    個人的には足袋よりも着付け、特に娘役さんの帯が気になりました。
    もちろんつけ帯なんだと思いますが、位置の微妙な高低や2巻きめのずらし方で野暮ったくもなり粋にもなります。その中では次期トップ娘役のゆきちゃんが一番綺麗に見えました。表情や目線の動きもとても華やかで優雅で、今から期待が高まります。

  4. zukamen より:

    ペン吉さん、こんばんは。
    足袋ですが、他の男役さんたちも入っていましたか?僕は前列しか見ていなかったようで、上げ底は明日海りおだけだと思っていました。ご訂正、ありがとうございます。
    あの上げ底足袋は「ラッキー足袋」と言うのですか…知りませんでした。
    次期トップの仙名彩世は「風の次郎吉」のときもそうですが、着物の着付けが上手なのかもしれませんね。
    僕も着物はいくつか持っていますが、何しろ男の着付けなんぞあってなきが如しです。ささっと簡単に着てしまえるので。
    女性の着物の着付けの大変さは昔母が着るときに帯を結ばされた覚えがあるので、知っています。ずいぶん怒られました、力任せに結ぶのではなく、あっちをひっぱりこっちを寝かせて。。。と。懐かしいです。