20年ぶりの涙の観劇、星組「LOVE&DREAM」

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余韻は今もおさまらず。
「Love & Dream」は僕の20年ぶりの 宝塚観劇です。

しかし、平日の昼間に「ビジネスマンですが仕事を放り出してきました」と顔に書いてあるような格好で、ほとんど女性しかいない会場に入るのは少々勇気がいりました。そのうえ席で取り出したのは…ピンクのオペラグラス。僕のじゃないですよ。妹が貸してくれたのです。でも、かなり舞台に近い座席だったので膝に置いてはいましたが使いませんでした。

ところが、僕の周りの皆さんは皆開演時間が近づくとゴソゴソと何かを取り出すではありませんか。ペンライト?らしき平たいHに持ち手がついています。昔はペンライトなんてありませんでしたし、せいぜい真帆志ぶきへの大向うが飛ぶぐらいでしたが、ずいぶん変わりましたね。しかし、どこで売っているんだろう…プログラム売り場にはありませんでした。

そして、開演。
暗くなったと思ったら、え? 舞台ではなく客席の通路後方にタカラジェンヌたちの姿が。皆ハイタッチをしてくれて、ドマンナカの僕には届きませんでしたが、客席サービスがすごいです。上演中何度もこれがあって、もちろん北翔海莉も降りてきていましたが、客席サービスが1階に限られているなあと思いました。後方席にも回っているので、1階前方の僕でさえ振り向いて見なければなりませんでしたから、2階や3階の客には全く見えなかったことでしょう。

オーストラリアの舞台でもミュージカルなどでは客席降りがたまにありますが、ほとんどの場合1階客席横の入り口を利用して前方10列目ぐらいまでです。つまり2階でも無視されないのです。宝塚の場合は、ハイタッチなどのファンへのふれあいサービスが目的だからなのでしょうが、それにしても半分以上のひとたちが1階後方で何が起こっているのか見ることもできないというのはちょっとなあ、と思いました。

さて、その後幕があがると「星に願いを」が流れて、僕は不覚にも涙をこらえ切れませんでした。昔の思い出がどっと蘇ってきたせいかもしれません。殺伐たるビジネスの合間にあまりにも美しい舞台が出現して、そのギャップに胸がぎゅうっと締め付けられたのかもしれません。

いやあ、これだよ、これなんだよ、忘れていたのは…と、僕は涙を拭きながら思いました。トシのせいで涙もろくなったということですか。まあ、男だって感激の涙を流して悪いわけもなく、その美しい調べを聴き北翔海莉と妃海風の姿を見て、僕は再び口をぽかんと明けて舞台に酔い始めました。

北翔海莉の歌声の伸びやかな美しさは今更言うまでもありませんが、彼女に寄り添う妃海風のいじらしい仕草とその歌声にも惹かれました。いいコンビですね。

この第一部ではどちらかというと娘役に焦点が置かれ(というのも、ディズニーは女性が主人公のものが多いからかもしれませんが)、妃海風の歌い上げる「ありのままに」と「パート・オブ・ユア・ワールド」がまだ耳に残っています。特に人魚姫アリエルの地上に憧れる気持ちがあまりにも愛らしくて、僕はまたウルッときてしまいました。

それから「あの」ドレス。

もちろんポスターにも使われている妃海風のシンデレラの紫のゴージャスなドレスのことですが、いや、なんと美しい。膝をついてガラスの靴を彼女に履かせる北翔海莉の王子の姿に、それまで妃海風が片足裸足のまま踊っていたことに気づきました。そりゃロングドレスの下で見えないのは当然ですが、まったくそれを感じさせない足運びに感心。しかし、ストラップもついていないあのガラスの靴を履かされてから、よく脱げもせずに踊れましたねえ。

そして、北翔海莉の歌は何といっても「素晴らしい」の一言に尽きます。危なっかしい歌い方のトップも過去には若干いましたよね(いや、それでも僕は麻路さきのファンでしたが)。その点、北翔海莉の安定した自由自在に繰られる歌声はハラハラすることもなくじっくりとゆったりと楽しめました。

第一部は早変わりもなく、もちろん版権のせいもあって全くディズニーの絵もアニメもなく、華やかではありますがどちらかというとディズニーソングのコンサートのようです。欲を言えば、衣装がもう少しディズニーのアニメに近くてもいいのではないかと思いました。または、アニメの一場面を再現してくれるとか。たぶんダメでしょうねえ、版権のせいで…。

ただし知っている曲も多くて、その楽しい雰囲気にのまれてあっと言う間に僕の宝塚観劇(再)初体験の第一部は終わってしまいました。
(長くなりそうなので、続きます)

 

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コメント

  1. あっこ より:

    観劇されたのですね。
    zukamenさんのコメントからとても楽しい時間を過ごされた
    ことがたいへん伝わってきました。
    そして、私も先週観た感動が蘇ってきました。
    みっちゃんの伸びやかな歌声が耳に残っていて
    それを思い出しました。
    風ちゃんがガラスの靴を履かせてもらう場面では
    私も「すごいなぁ‥」と感心していました。
    あの短時間で、履きにくそうな靴をうまく履いて
    優雅に踊る姿に‥。
    みっちゃんもきっと履かせにくい
    のでしょうがそんな様子を微塵も見せず、本当に
    王子様のようにさり気なくて‥。
    幸せな気分を思い出し、心が温かくなりました。
    ありがとうございました。

  2. とっち。 より:

    ヅカメン便り様。
    宝塚歌劇L&Dの20年振りの観劇は、初恋の人に再会する様な気分だったのかな?なんてブログ主様のコメントをドキドキしつつ、楽しみにお待ちしておりました。
    (スーツ姿で)大丈夫です。大劇場では割といらしてるのを見て返って素敵だなぁと私はいつも思います。
    妹さんのピンクのオペラグラスは、
    兄妹さんのほんわかした関係が伝わって、良い意味でクスッと微笑んでしまいました。
    涙を抑えきれず泣いたお話し。私の勝手な思いですが、老若男女関係なく、一般的な感動しかり、良い舞台でも、頂点に達した時の感情の涙はどの場面でも、止めることが出来ないし、美しいものなのかな?と思います。
    昨年も、全組観劇しましたが、ただ、私の泣き所は人と違っていて(えっ?今泣く?)と指摘されるし、嗚咽して泣くのは周りの人に迷惑だから静かに泣いてといつも一緒に行く友人からダメ出しされます。
    この舞台お聞きするに、歌上手コンビで、究極の舞台人である北翔海莉さんの演技、白馬の王子様的感満載で、又、ふうちゃんのお姫様。宝塚って感がはんぱないのが伝わってきます。
    私はL&Dのチケット取れていないので見ることはできないので残念ですが。
    慌ただしい日程の日本出張であったにも関わらず、最高の時間を過ごされたご様子で本当に良かったですね。
    又、続話楽しみにしています。
    追伸。日本への出張。いかがでしたか?

  3. zukamen より:

    あっこさん、
    とても楽しかったです!
    ディズニーは少年少女の夢、懐かしの宝塚は僕の青春です。
    オーストラリアではネットかDVD以外観る機会もないので、DVDかCDが出るといいんですが。
    北翔海莉にはすっかりはまりました。

  4. zukamen より:

    とっちさん、
    まさにそれです! 「初恋の人に再会する気分」だったんです。懐かしくて胸が詰まりました。
    会場には、ちらほら男性の影も見え、「同志よ!」と手を振りたくなりました。
    やはり観劇で感激の涙を流すひとも多いですよね…(図らずも、親父ギャグのようになってしまいましたが)。客席は暗いからあまり気づかないのかもしれません。
    出張は慌ただしく、観劇の前後もミーティングがありましたから、やっと余韻にひたれたのは成田のラウンジでした。この記事もそこで書いたものです。季節が反対なので荷物が多いしコートはかさばるし、今度はもっと気温がちょうどよい季節がいいなあなどと思っていますが、出張時期は選べません。今度もちょうどいい観劇時期に当っているといいなあ。

  5. zukamen より:

    いつも温かいコメントをありがとうございます!
    ブログ上ではお返事を書けず心苦しく思います。メールアドレスをいただければ、返信でお礼をお伝えしたいのですが。
    今後ともよろしくお願いします。

  6. シエスタ より:

    20年ぶりの観劇、楽しまれたようで良かったです。
    北翔さん、妃海さんらは見応え、聴き応えがありますよね。
    高い技術と豊かな表現力を備えた、素晴らしいトップコンビ、そして個性的で多彩な魅力のメンバー揃いだと思います。
    私も長く宝塚から離れ、それはもう久しぶりに大劇場へ行った時、劇場にいる事自体に感極まりました。
    建替前の旧劇場や、新築直後に震災で水浸しになってビニールシートが掛かった様子を思い出したりも…。
    海外にいらしたら、なかなか機会がないとは思いますが、ぜひ宝塚大劇場へもいらして下さい。
    大劇場の独特の雰囲気を、ぜひ20年ぶりに味わいにいらして下さい。
    朝夏さんの伸びやかなダンス、明日海さんのこの世のものとは思えない美貌と存在感など、今しか出会えないスターをご覧になって頂きたいです。
    感想の続き、楽しみにお待ちしています。

  7. zukamen より:

    シエスタさん、
    コメントをありがとうございます。
    星組観劇、久しぶりに「心の使っていなかった部分」を刺激したようで、本当に楽しかったです。
    そうですよね、震災のときには宝塚も随分と被害があったのですね…。
    ちょうどそれから20年。僕はすでに海外でしたから、ニュースを聞いて心が痛みました。そのときも在外日本人たちは色々なイベントを開いて支援の寄付を募っていました。東日本大震災のときも同じように海外でも日本人たちが寄付を募り、僕もまたささやかながら貢献したことを覚えています。
    震災からの宝塚の復興は目覚ましく、去年は過去最高観客数を示したそうで感慨深いです。
    今回は5日の出張でしたので1度しか観劇できず、月組観劇も見送ってしまいました。
    次回はシエスタさんのおっしゃるように是非宝塚にも遠征してみたいです。宙組と花組、どちらも美しいトップを迎え、ますます楽しくなりそうですね。