ねじめ正一氏の「埋める誇り」に見る北翔海莉の実力

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「田舎主婦・ムコのブログ」のムコさんから直接コメントで教えてもらった、6月12日日曜日付日経新聞朝刊の文化コラムのことです。僕が書くまでもなく、すでにネットで見つけたかたが沢山いるようで、いくつものブログで言及されていました。

日経は株とビジネスニュースしか読んでいないので、無料会員です。そんなわけで全くそのニュースは知らなかったのですが、さっそくアクセスしようとしたら「有料会員」のみの記事でした。残念。

が、なにせ海外なもので、ささっとキオスクに走って日経新聞を買うわけにも行きません。さてどうしようと思ったら、ムコさんがさっそくご自分のブログでリンクを教えてくださるし、他のかたもコピーを送ってくださったり、わざわざスキャンのアップロードをしてそのリンクを教えてくださったり、いやはや宝塚ファンの方々には本当に親切なお心の持ち主が多くて頭が下がります。ありがとうございます。

御礼も兼ねてそのことについて書くつもりだったのですが、昨日は先に書いた記事をアップしてしまったので今日にしました。連日投稿でお目汚し失礼します。

 


月影瞳、彩吹真央、そして北翔海莉と続く「実力派」について書かれたそのコラムは、「外にも通用する実力」を養わせるより華を重視する現在の劇団のありかたに対する警鐘でもある、と僕は思いました。それは8年ぶりに見た歌劇が氏の記憶の中の美しい舞台とは違い、聞きづらいセリフ運びとのけぞってしまうほどヘタクソな歌に少々失望したらしい様子にも現れています。

確かにまるでアイドルのように背が高く美しいひとたちが多くて、20年ぶりに見た僕も「LOVE&DREAM」で目を奪われました。その華やかな舞台は今もDVDの助けを借りて楽しんでいます。が、それとともに歌が下手な路線の男役が多いなあという印象も受けました。皆そこそこに踊れるのですが、安心して聴けるソロが少ないのです。

僕は残念ながら月影瞳も彩吹真央も知らないのですが、北翔海莉に関して言えば、お嬢さん芸だの外では通用しないだのと言われる宝塚の生徒の中では群を抜く努力で実力を培ってきたひとです。その実力は、アイドルを求めて宝塚を観るファンには疎ましく映ることもあるようですが、そのいまだ失われることのない宝塚への愛情と「ひとは見ていなくてもわたしがわかるから」手を抜かないという職人芸には頭の下がる思いです。

北翔海莉が出る舞台では、開演前のアナウンスで「星組の北翔海莉です」というところで必ず大きな拍手が起こります。他のトップの舞台では例のないことで、ここからもどれだけファンの層が厚いかわかりますね。

さてもうひとつ目を引いたのは、氏の「北翔海莉のぶれないトルソ(=イタリア語で「胴体」の意味)」という表現です。

僕は咄嗟に往年のミュージカルスター、ジーン・ケリーを思い出しました。彼はフレッド・アステアとは同時代に活躍したダンスの名手です。技巧的にはどちらも甲乙つけがたい天才たちですが、フレッド・アステアが蝶のように軽やかに飛び回り洗練された雰囲気をもつのとは対照的に、ジーン・ケリーは泥臭く押し出しの強い、腰の安定したダンスをするひとでした。

北翔海莉もダンスの上手い男役ですが、それは昔フレッド・アステアに例えられた大浦みずきの軽やかさとは違い、観客に見せるための「全体としての舞台の安定」を軸にしているように思えました。北翔海莉ならではの舞台での存在感です。

いずれにせよ、今年11月に北翔海莉が「男役としての北翔海莉」でなくなるのは寂しい限りですが、「埋める誇り」を持ち伝統を担ってきた宝塚の「外の世界」でこれからどのように自身を「拡げて」行くのか、これもまた待ち遠しい「新しい北翔海莉」の誕生と言えるかもしれません。

 

 

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コメント

  1. ストレッチ友理子 より:

    私もこの記事を読んで、本当に嬉しくなりましたし、みっちゃんをギリギリ見つける事が出来て、間に合って良かったです。
    もし劇団が、ガイズを上演していなかったら…再び宝塚に足を運んだかは、微妙です。
    だから劇団にも感謝!
    明日頑張れば、週末2日間も みっちゃんに会えます!そして星組の皆さんにも!一ヶ月振りかな〜?
    どんな風に進化しているのか?
    今から楽しみで、楽しみで…ワクワクします!(≧∇≦)

  2. zukamen より:

    ストレッチ友理子さん、こんばんは。
    僕もガイズの稽古場風景を見て、ドキリとしたのが始まりでした。
    ああ、「こうもり」観劇ですか…羨ましいなあ。
    楽しんで来てください!