1990年月組「川霧の橋」で、いなせな剣幸といじらしいこだま愛を観る

ちょっと昔の宝塚
画像引用元:https://www.takarazuka-an.co.jp/fs/takarazuka/TCAD-228A
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1990年剣幸とこだま愛のさよなら公演はよく覚えています。日本物の芝居は「川霧の橋」、そしてレビューは僕でもまだ口ずさめるあの主題歌を産んだ「ル・ポワゾン」です。

先日は「宝塚バトン」に「ル・ポワゾン」についても書いたので、今回はこの「川霧の橋」について。

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剣幸は歌も芝居も上手かったのですが、どちらかというと押しの強さに欠ける男役でした。大地真央という稀代の男役トップ退団のあとに二番手からトップとなり、その下に涼風真世、天海祐希、久世星佳などの次世代トップが控えていましたし、同期には大浦みずきというトップダンサーのいた時代です。

こだま愛という最高のパートナーを得たあとは、代表作ともなったMe & My Girlの大ヒットでその地位を確立したスターでした。張りのある艶やかな歌声、優しい笑顔とその人柄でもファンの間で有名だったひとです。

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ミーマイは1年という長丁場で、あまりにも長いことジャッキー役だった涼風真世が最後のほうで剣幸とジャッキーとビルの役替りをしたという逸話さえ残っています。

「川霧の橋」は山本周五郎の原作を元にした「江戸切り絵」と呼ばれる佳作。江戸の大火を背景に、運命に弄ばれる大工の棟梁幸次郎と幼なじみのおみつの別れと再会を描いていて、いなせな剣幸といじらしいおみつの姿が観客の涙を誘いました。

ここでは涼風真世も幸次郎の後見人である半次の役で、静かにひとのために自分を犠牲にする、いわゆる山本周五郎の作品に多い「人情のひと」を好演しています。

急速に台頭してきた若い天海祐希が悪役清吉を演じていますが、中途半端なチンピラとして「殺すこともないんじゃない?」という曖昧な疑問を残してしまうのは、彼女の役作りの青さがまだ凄みを出しきれていないからかもしれません。

 

 

久世星佳もいますね。若々しい笑顔で、これからの活躍を予想させます。

 

こだま愛はこのあと「ル・ポワゾン」では妖艶なダンスも見せていて芸域の広さに驚きますが、ここではあくまでいじらしく、僕などはここでこだま愛に本気で結婚を申し込みたいほど傾倒してしまいました。少女から女性になり、様々な人生の苦難を乗り越えながら自らも成長するおみつを好演し、舞台で観客に涙の感動を与えました。

剣幸は…こういう小さな市井の生活を切り取る佳作を退団公演としてもらってラッキーだったと言うほかはありません。というのも、いくつか最近の退団公演を観ましたが、レビューはまだしも芝居のほうがどうもあまり感心しなかったからです。退団公演だから「去りゆくひととの別れを惜しみつつ、晴れの退団を匂わせる」という取ってつけたような場面が多く、不自然なのです。

そうした意味でも、この芝居「川霧の橋」は大変思い出に残る作品でした。
最後の場面でおみつの胸元をつかんで「もうどこへも行くな」という心からの言葉、それに応えるこだま愛の幸せそうなうなずき。そして、胸元を直してやる優しい手。いいなあ、剣幸。

 

 

そして、その場面が最近再現されていました。
2014年の梅田芸術劇場10周年記念「SUPER GIFT!」です。こだま愛のおみつの「幸さん、ホタルとって」で、僕はもう25年前のあの舞台にタイムスリップしてしまいました。

 

 

「もうどこへも行くな」のセリフも、つかんだ胸元を直してやる仕草も同じです。

 

こういう後々まで残る名場面やセリフなどは、「昭和の宝塚」を懐かしむ僕のようなオールドファンにはたまらないのです。
それだけ感動が深かったということですから。

残念ながら、「川霧の橋」も「SUPER GIFT!」もDVDやレンタルでは出ていません。
こちらはNHKの再放送か、もしくはスカステにリクエストをして再放送してもらうか、ですね。

 

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コメント

  1. ムコ より:

    こんばんは。
    zukamenさんが並べられた、スターの系譜をみるとそれはそれは、、、豪華ですねぇ。。ほんとうにきら星のごとく、と言う感じ。
    皆さん美しく個性もくっきりあって、娘役もとっても娘役スキルが高くて素敵だなぁ、、
    ・・・てこの時代、わたしはまだ子供でしたので、たまに夏休みや春休みなどにあたったらたまに見れる、程度で、実際はどなたも生で見ていないのですが。。
    剣幸さんといえば、いま花組でやっているミーマイのビルも当たり役だったそうで、、なんと!昨年、男性俳優も普通にたくさんいらっしゃる富山の舞台でミーアンドマイガールを剣さんビルでされたそうですよ。
    それはそれはもう素晴らしい作品になっていたそうです。
    http://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000004873
    みっちゃんもこういう「超当たり役」がほしかったなぁ。。
    あ、ダニロもじろきちもそう、当たり役ではありますが、(その点は幸せ)

  2. zukamen より:

    ムコさん、
    あの時代は豪華ですし、実力も華もあるひとたちが沢山いました。まあ思い出は美化されるのかもしれませんが。
    1987年のミーマイで、剣幸のビルはナマで観ました。これは東京でも上演されているんです。
    そのことについては「宝塚バトン」をもらったときにも書きましたが、こちらでひとつの記事にもしています。
    http://zukamen.blog.fc2.com/blog-entry-47.html
    オーチャードホールの再演、本当に見てみたかったです。映像はほんの少しですし。
    ダニロと次郎吉の北翔海莉は、やっぱり当たり役と言えそうですね。
    もっと長くやっていたら、もっと沢山あっただろうと思いますが、すでに決まったことは仕方ありませんね。