2015年星組「ガイズ&ドールズ」ー礼真琴の愛らしさと美城れんの確かな芸

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礼真琴は、僕はたぶん「黒豹の如く」のときに見ているのでしょうが、気づきませんでした。だから、男役だということは知っていましたが、アデレイドとして出てきたときにはビックリしました。

まず、愛らしい。14年も婚約したまま待たせられ、どう考えても30過ぎという年齢設定ですが少女のようです。今風のブリッコのような仕草とお茶目な雰囲気で、ちょっと頭の足りない、でもネイサン一筋の可愛い女性として演じています。このひとは男役に戻ったら一体どんな演技をするのだろうと心配になるくらい、「女装」ではない娘役姿で感心してしまいました。

そして音域がかなり広いというのも、「女装」を感じさせない理由のひとつなのだと思います。

男役が女役をすると、(現在では音程さえ不安定な男役が多いだけに)どうしても高音に無理が生じます。ところが、礼真琴の場合はその高音さえのびのびと歌えているのです。「ブッシェル&ペック」で「アイラブユ〜、首ったけよ〜♪」などとセクシーに歌われると、僕までテレビの前で鼻の下が伸びてしまいました。

実は、僕が観たロンドン版とオーストラリア版はどちらもこんな感じでコケティッシュで可愛い声のアデレイドだったのです。舞台で観客として観ている男たちも「ヒューヒュー」と口笛を吹き囃し立てて、楽しいクラブの雰囲気を出していました。宝塚版では男たちが静かに観ているだけなんですね。

いいなあ、礼真琴。しかし、今度は男役で見てみたいです。どなたか、お勧めの舞台はありませんか?

美城れんは、残念ながら僕は一度もナマの舞台を観たことがありません。「戻って来た宝塚ファン」として日が浅い僕には、知らない生徒さんがまだまだ恥ずかしいほど多いのです。

ナイスリーナイスリー・ジョンソン役で肉布団をつけたのは、美城れんが初めてでしょうか。北翔海莉が三人組のラスティーを演じた「紫吹淳バージョン」では大空祐飛だったらしいですが、写真ではそのままのスレンダーなナイスリーでした。

「座れ、舟が揺れる」の歌は元々ナイスリーのソロでした。宝塚版では北翔海莉が素晴らしいイントロで歌に入っていき、そのあとを美城れんが引き継いでいます。彼女は歌も上手いですね。また、ふとっちょの肉布団でも動きは素早く、ダンスのキレもいいのがよくわかります。

すでに退団が目の前に迫っていますが、美城れんを失うのは劇団にとってかなりな打撃なのではないかと思います。トップはいずれ退団するものですが、専科の貴重なバイプレーヤーにはいぶし銀のような輝きを持つひとたちが多いのです。美城れんが去るのは、将来に続く名脇役としての「路線」が絶たれたようで寂しい限りです。

美城れんについては、西郷隆盛の映像を見たときにこちらの記事に詳しく書きました。

さて三人組の残りのふたりは、七海ひろきのベニーと麻央侑希のラスティーです。どちらもたぶん路線の男役なのでしょうが、やはり歌が弱いですね…。

七海ひろきは「LOVE&DERAM」のときに「うたかたの恋」で白い軍服が非常に似合って美しかったのを覚えています。何かもうひとつ舞台での押し出しの強さに欠けるのでしょうか…どちらかと言うと、スカイステージの普段の姿のほうが生き生きとして見えます。精進してもう少し前に出て欲しい男役のひとりなのですが。

麻央侑希も覚えています。ただしダンス場面でフワフワとちょっと頼りないなあ、という意味で。背が高く立ち姿の大変美しいひとで、群舞の中でかなり目立つ存在だったためか、返ってその弱さも目立ってしまったのかもしれません。路線として続くなら、やはりもう少し芸の鍛錬が必要だと思います。

芸達者な美城れんを中心として、三人組としてはすてきな一場面を作っていましたね。銀橋での歌は楽しくて、僕も知らず微笑んでいました。
いずれにしろ、「ガイズ・アンド・ドールズ」は全体としてみても、完成度の高い舞台です。

北翔海莉が星組トップとして初めて大劇場でのお披露目となった公演ですが、彼女を中心としてよくまとまっていて、昔から星組好きの僕としては大変嬉しいです。
しかし、昔は同じトップが何年も君臨していたせいか「組カラー」が今より色濃く出ていましたが、最近ではカラーを作る暇もなく次々と新しいスターが登場します。北翔海莉のもとで星組がどのような色に染まるのか、もっと見てみたかったと思うのは僕だけではないと思います。

DVD/BDが何度も売り切れてしまったこの「ガイズ・アンド・ドールズ」、再々販売が9月4日からということで現在では楽天でも「正規の値段で」出品されていますので、派手に値段を釣り上げていた再販業者がこれで懲りてくれることを願っています。

 

 

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コメント

  1. ブレンハイム より:

    こんにちは。ヅカメンさん
    私は9/4日曜日、桜華に舞えを見に行ってきました。
    案の定、泣いてしまいました。
    レビューもやっぱり泣いてしまった。
    これで、これが最後の宝塚の舞台なんだと
    思うと自然に涙が出てきました。
    あと、4回観劇予定ですが・・・・
    その時もやっぱり泣くんだろうな!!って思っています。
    みっちゃんファンとしてはもっと
    レビューでみっちゃんの場面というか
    みっちゃん中心にやって欲しかったというのが
    正直な感想です。
    観劇後、お茶会にも参加して
    本当に楽しい、幸せな時間でした。
    前に手を伸ばせばみっちゃんにあたる
    位の距離まで2度来てもらえて
    本当にうれしく舞い上がってしまった。
    フフフフフ、幸せいっぱいで家路につけました。

  2. zukamen より:

    ブレンハイムさん、こんばんは。
    観劇とお茶会、羨ましいほどの忙しさでしたね。お疲れ様です。
    全部で5回観劇ですか…
    やっぱりタオルご持参でしたか。皆さん、大泣きのようです。
    それにお茶会というのはレポート禁止だとうかがったので、なおさら羨ましいです。
    はやくBDが観たい(ですが、まだ予約さえできませんし)と、そればかり考えています。
    後4回、楽しんできてください。

  3. ブレンハイム より:

    ヅカメンさんへ
    お茶会・親睦会での内容はレポ禁止です。
    世話役の方からの注意があります。
    本当は・・・大きな声でみんなに
    聞いてほしいけど
    王様の耳はロバの耳~
    心の中でひそかに思い出しては
    笑って、楽しんでいます。

  4. さえぽん より:

    桜華に舞え!の観劇とお茶会 羨ましいです〜。
    お茶会も きっと凄い人数なのでしょうね。
    どんな時でもファンに笑顔で応えて下さるみちこさんだから 皆さんがどれほど幸せな時を過ごせたか 想像できます。
    真琴ちゃんのアデレイドは本当にキュートで素敵でした。
    本当は男役さんとは思えないほど 高音もよく伸びて 歌もお芝居もダンスも上手で適役でした。
    何でも出来るので 女役として 今後いいように使い回されないかと ファンに心配されてます。
    来年からは2番手なのかな・・・
    そして美城れんさんのナイスリー
    光ってました❗️
    太っちょだけと チャーミングな笑顔で ステップは軽やか やはり歌が上手い。
    ナポレオンでも北翔海莉との掛け合いの歌が良かったです。
    1789は見てません・・・
    彼女を手放すなんて 劇団も馬鹿だと思います。
    劇団と色々とあったようで 人の話だから本当の所は分かりませが そりゃ宝塚だから いろいろあると思いますよ。
    (気になったら 7月15日のムラオさんのブログにコメントした方の記事を見て下さいな)
    今回 桜華でみちこさんと一緒に退団出来て良かったのではないでしょうか・・・・
    所で 21日に発売の北翔海莉の4枚組CDは予約されましたか?
    凄く楽しみです❗️

  5. zukamen より:

    ブレンハイムさん、こんにちは。
    やっぱりレポ禁なのですねえ。
    確かに、皆さん会費を払ってファンの会合に出ているのですからわかります。
    でも、行けそうもないのでちょっと寂しいです。
    ただし、退団しても絶対活躍するべき北翔海莉ですから、これからも舞台だけは観られると思います。

  6. zukamen より:

    さえぽんさん、こんにちは。
    礼真琴は本当にチャーミングなアデレイドでしたね。
    僕はこのひとが男役で芝居をやったところを見たことがないのですが、「こうもり」がもうすぐ着くはずなのでこちらで見たいと思います。
    美城れんのナイスリーは本当に「ナイス」でした。
    おお、ナポレオンにも出ているのですね。チェックしなければ。
    4枚組CDはどうしようかなと迷っています…やっぱり予約しようかな。

  7. ペン吉 より:

    こんにちは。
    礼真琴の男役お勧めの舞台・・・ということですが、2015年の別箱公演
    「大海賊」はいかがでしょうか。みっちゃんのプレお披露目です。
    あとはしつこいですが「こうもり」ですね。
    一瞬だけ女声で歌っていますし。
    それにしても、美城れんは本当に退団が惜しまれますね。生で何度か観劇した1789ではやはり小太りなルイ16世を演じていたのですが、卓越した演技と歌以上に、そのキレキレなダンスに驚きました。
    (日舞は別として)あれだけ踊れて、さらにふとっちょ役も老け役もできる専科メンバーは貴重というのを通り越して彼女ぐらいしか思いつかないところ、非常にガックシです。
    ところで今週末、ムラに遠征して桜華に舞え!を観てきます。
    みなさんのアドバイスに従いタオルを持って行く予定です。

  8. さえぽん より:

    再び 今晩は〜〜
    礼真琴さんはナポレオンでは ジョゼフィーヌの息子の役でした。
    新人公演では ナポレオン。
    ナポレオン自体は お話しを詰め込み過ぎで 退屈な演目でした。
    スミマセン・・・
    みちこさんは もちろん 素晴らしいのですが。
    真琴さんは 柚希礼音さんに憧れて宝塚に入って運よく(?)星組に配属されて柚希さんの役を5回も出来たそうです。
    最初から 実力を認められていたのですね。
    私はヅカファンになって日も浅いのですが とにかく 歌とダンスが上手すぎると 皆さんがおっしゃってます。
    ネットで見ただけですが 「ロミオとジュリエット」のベンウォーリオも上手くて 誰だと思ったら 礼さんでした。
    新人公演を卒業したばかりの学年なので 大きなお役がついたのは 北翔星組になってからなのではないでしょうか。
    アデレイドは見せ場が多くて 魅力全開でしたね。
    私は 大海賊はまだ見てないのです。
    もしDVDを買うなら 風の次郎吉 ととちらがオススメですか?
    (スカステには入ってません 次郎吉はネット見しました。)

  9. zukamen より:

    ペン吉さん、こんばんは。
    僕は「Amour…それは」は観ましたが、併演された「大海賊」はまだ見ていないのでした。
    礼真琴の歌とダンスはレビューのほうで見ていたのですが、芝居はまだでした。
    ありがとうございます。さっそく「大海賊」のほうで礼真琴をチェックしてみたいと思います。
    美城れんは本当に退団が残念な専科メンバーです…。
    いいですねえ、タオル持参の「桜華に舞え」観劇。
    周りもみんな泣いているらしいですから、大判タオルでも全く恥ずかしくないと思います!

  10. zukamen より:

    さえぽんさん、こんばんは。
    ナポレオンは、北翔海莉のタレーランを見たいので、いずれ記事も書くつもりです。
    そうか、礼真琴もいるのですね…。
    風の次郎吉はとてもおもしろいですよ!お勧めです。
    こちらもいずれ記事にするつもりです。