2009年の北翔海莉ディナーショー「ALL OF ME」

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北翔海莉のクリスマスディナーショーがあることは知っていますが、それより1週間遅れて東京に到着する予定の僕は、涙をのんで7年前の映像を観ています。2009年9月の北翔海莉初めてのディナーショー「ALL OF ME」です。

ジャズのメドレーから始まり、テイク・ファイブの音楽に合わせて3人の軽快なダンスも見せてくれます。テイク・ファイブは「THE ENTERTAINER」でも再演されていますが、こちらはジャズのメドレーの中のひとつですのでとても短いものでした。彼女はこれをもういちど演ってみたかったのかもしれませんね。

そのあとは、名曲「サマータイム」でアルトサックスの腕前を披露しています。音を外すわけではありませんが、少々シロウトっぽさが残る演奏で、まあご愛嬌というところでしょうか。そのあとの歌はもちろん見事に歌い上げています。

ジプシー女性の姿で登場して、虫メガネを持って客席降りが始まります。。男役にありがちな「女装」ではなく、動きもしなやかでむしろ妖艶です。普段の彼女は、もちろんあまり男役臭さを感じさせない温かい笑顔の「女性」ですので、このまま外の世界でも自然に女性として舞台に登場できると確信しました。

 

男性の膝に座って歌い続けたのにはビックリしました。こちらでディナーショーに行くとよくある「客席の男性をからかう歌手」のコケティッシュな仕草ですが、堂に入ったものです。服装こそ(下に次の衣装を着ているからかもしれませんが)少々着ぶくれした雰囲気ではありますが、体の線が柔らかく出るドレスなど着られたら、ドキリとしそうな視線としなやかでしっとりとした風情です。

北翔海莉の「女装」と言うと、有名なところでは「雨に唄えば」のギャグっぽいリナちゃんがありますが、今回はそれほどおちゃらけずに「妖艶な女」に徹していましたので、こういう場面ができる彼女を見せてくれたのは原田遼という当時の新人(ですよね?)演出家の斬新なところかもしれません。

…と思ったら、2015年の望海風斗のバウホール公演「アル・カポネ」の演出もこのひとでした。僕も以前記事を書いたのですが、なにぶんあまり演出家のことはよく知らないもので、舞台のことだけを書いていましたが。

「ガイズ・アンド・ドールズ」の三人組が出てきたときは、ああ、北翔海莉はこの三人組のラスティーだったんだ、と思い出しました。2002年ですね。2009年にはディナーショーで歌い、そして2015年はトップお披露目公演としてやっと主役のスカイです。長い道のりでしたね…。

この共演しているお二人、蓮水ゆうやと百千糸ですが、蓮水ゆうやは朝夏まなとと共演しているBrilliant Dreamsのダンスの切れのよさで覚えていましたが、百千糸を見たのは初めてです。どちらもすでに退団されたそうですが、歌も上手く、北翔海莉のサポートとしては最適だったと思います。

しかし、北翔海莉のアドリブはこのころから冴えていたのですね。
「この不景気の中、(2万5千円も払っていただいて)ありがとうございました」「皆様、今日はとびっきりのオシャレにとびっきりの厚化粧、まことにありがとうございます!」

この男役としての美しい立ち姿と伸びやかに響き渡る歌声、そしてアドリブギャグのお笑いみっちゃんのギャップがファンにはたまらないのです。

お得意のフラメンコも杖と足とのリズムで激しくカッコよく披露して、最後には「ムーンリバー」の美しい調べ。白い衣装も完璧に似合って、幸せな気分が伝わってきます。

男役から女役への変化も苦もなくこなして妖艶な美女になり、歌はもちろんジャズからモダンクラシックの名曲まで素晴らしい歌声を聞かせ、そしてフラメンコでは客席が息をのむほどの激しい足さばきです。きりりとした決めのポーズも美しく、男役としての真髄を見せてくれました。

僕はもちろんこのころの北翔海莉を全く知らないのですが、これだけの実力と華と多彩な芸がありながらそれでもトップになれなかった苦難の時代と聞いています。ファンのひとたちも悔しい思いをしたことでしょう。

ただし、この時代がなければ「今の北翔海莉」はいなかったというのも事実です。このころトップになっていたら、三年ほどの華やかな時代を経験し、そのまま外の舞台で進んでいたのではないかと思います。そして、僕たちは彼女の素晴らしい男役の舞台を、心に残る脇役としての存在感を、こんなに長く楽しめることはなかったはずです。
どちらがよかったのか、誰にもわかりません。

絶え間なく前進し続ける北翔海莉は、過去のことは退団挨拶の言葉のように「苦しくて、そしてほんとうに面白かった」と晴れ晴れと言えるまでになり、颯爽と歩み去ってしまいました。

僕は、あと数週間でクリスマスのディナーショーに行かれる皆さんが羨ましくてたまりません。あの颯爽と去ったみっちゃんが外の世界で不死鳥のように蘇るのを目の当たりにすることができるのですから。

 

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コメント

  1. きょん より:

    ヅカメンさんの北翔さんに対する思いに、いつも「そうなのよ」と同意しながら読ませていただいておりました。
    ご本人はもう前を向いていらっしゃるのに、私自身は完全に「北翔ロス」。過去の録画やDVD、ブルーレイを観てはまぎらわせております。
    そんな気持ちをわかってくれたのか、ディナーショーのチケット取れたのです。ディナーショーって初めてで、やっぱり「とびっきりのおしゃれで、とびっきりの厚化粧で」行かなくてはいけないのかと「ALL OF ME」を観ながら思っていたところだったので、思わず書き込ませていただきました。

  2. さえぽん より:

    zukamenさん 今日は。
    「ALL OF ME」を私も最近見ました。
    最初のディナーショーから ジャズナンバーを取り入れていたのですね。
    take fiveのダンスでの足上げの見事な事!
    ジプシー女の場面も 妖艶でみっちゃんらしさが出てましたね。
    私は「100万本の薔薇」がお気に入りです。
    他の人がやってないような事をやりたい と言う気持ちは この頃からあったのですね。
    その後のディナーショーは 一人だけで仕切り、宝塚のスターのディナーショーではないみたいで より自由に 北翔海莉を表現してます。
    だから 来月のディナーショーは さらに進化した 北翔海莉を見せてくれるでしょう。
    絶対にチケット 取れないと思い 参戦しなかったので すが トライしてみれば良かったです。
    OLL OF MEのポスター かっこいいですよね!
    私の携帯待ち受けです(*^^*)
    宝塚ぽくないので 良いです。

  3. koyume25 より:

    今晩は。
    このジプシー女、数十年前に明石照子さんで見た記憶が…子供には妖艶な女性でした。YouTubeにモノクロの映像が残っています。
    北翔さんのディナーショーは比較的男性が多いようなので、こんなことも可能なんですね。こういう時は男性が羨ましい(笑)
    私も『百万本の薔薇』が好きです。階段に座って歌っているので動きがない分、歌詞に集中できるせいか、その情景が目に浮かびます。
    ディナーショーは一人で行くのをためらっているうちに申し込めなくなってしまいました。
    コンサートは取れると良いのですが。

  4. ポコ より:

    このディナーショーのみっちゃんを見ていると本当に初々しい感じですね。
    冒頭は緊張からなのかマイクを持っていない方の手で何度も燕尾の前裾?をなおす仕草が微笑ましいです。
    ジプシー女の場面は本当に素敵で何度もリピってます。
    ALL OF MEもとても素敵ですがパリ祭のDSをみると明らかに決意みたいなみっちゃんの気迫が感じられて本当に感動します。
    そして最後に歌った『いつか』は無条件に泣けます。
    そして思わず『大丈夫だよちゃんと待ち合わせに間に合ったよ』と話しかけてしまいます(イタイファンですみません)
    みっちゃんが卒業されたあと寂しくてやっていけるか正直心配だったのですが、蓋を開けてみると卒業後も全力疾走されているみっちゃんについていくのに必死で寂しいとかいってられません(笑)
    まずはディナーショー駄目元で応募した加美乃素サマに運良くOKを頂いたのでそちらの方に全力疾走まいります!!
    てかあらゆる運を使い果たしてしまったような…ちょっと怖い…(^_^;)

  5. zukamen より:

    きょんさん、こんばんは。はじめまして!
    僕もどうやって「みっちゃんロス」を克服しようかと日々悩んでいます。
    DVDかなあ、僕の場合は。
    でもディナーショーに行かれるのですね。おめでとうございます!
    「とびっきりおしゃれして、とびっきり厚化粧で」楽しんできてください(笑)。
    ディナーショーのあとで、ぜひご感想を教えてください。

  6. zukamen より:

    さえぽんさん、こんばんは。
    僕も見てから喝采を送りたくなりました。足が上がっているのは昔からだったのですねえ。
    その後のディナーショーというのは、僕は映像でもらったものがあるので、さっそく観たいと思います。
    3月にコンサートがあるそうですから、これはぜひ観てきてください。
    まだ未定のゲストが何人かいますが、楽しみですね。

  7. zukamen より:

    koyume25さん、こんばんは。
    おお、明石照子だったんですか! それは知りませんでした。何となく昭和の香りのする曲だとは思いましたが。
    ありがとうございます。
    僕も「百万本の薔薇」が好きです。
    3月のコンサートはぜひ観てきてください。ご感想をお待ちしています。

  8. zukamen より:

    ポコさん、こんばんは。はじめまして!
    ああ、そうか、北翔海莉はもしかして緊張していたのかもしれませんね。
    僕も彼女が何度も燕尾服の襟を触るのに気づいていました。もしかしたら上着が大きくてズレるのかな、と。
    パリ祭のディナーショーですね。今度はそちらを観て感想を書きたいと思っています。
    加美乃素は太っ腹ですよね!
    お土産までいただけるようですから、どうぞ楽しんできてください。ご感想を楽しみにしています。

  9. zukamen より:

    アッキーさん、こんばんは。はじめまして!
    北翔海莉は男性ファンがとても多いそうで、僕も同類が沢山いて安心して「北翔海莉」ファンを自認できるのが嬉しいです。
    ディナーショーご当選、おめでとうございます。楽しんできてください!

  10. さえぽん より:

    zukamenさん 今日は
    KAIRIスピリッツから 入会申し込み書が届きました〜
    21日に早速手続きをした分です。
    私はみち子さんの人柄に 惚れ込んでますので 今後も応援しますよ(*^^*)

  11. きょん より:

    ヅカメン様返信ありがとうございました。
    はい、ブログにディナーショーの感想、書かせていただきます。
    たぶん、「みっちゃんに会った。ただぼぉ~とと見ていていたら終わった」という感想にもならないものだと思いますが。24日以降にブログお尋ねくだいませ。

  12. zukamen より:

    さえぽんさん、こんばんは。
    入会されたのですね。おめでとうございます。
    今度どんな活躍をしてくれるのか、僕も楽しみです。

  13. zukamen より:

    きょんさん、こんばんは。
    おお、ブログを書いていらしたのですね!すみません、見落としていました。
    みっちゃんのディナーショーの記事を楽しみに待っています。

  14. ペン吉 より:

    zukamenさん、こんにちは。
    ところで今週のcafe & breakは引き続きみっちゃん特集でした。
    もうご覧になりましたか?
    最後の最後までみっちゃんらしく、爆笑ものの「特別なオチ」までつけていて、寂しさだけではなくほっこりする気分になりました。
    司会の中井さんとのかけあいも、心を込めた言葉の一つ一つがこちらに伝わってくるようでした。
    ネットを探したのですが、残念ながら一つ前の回しかみつかりませんでした。少しでもみっちゃんロスがまぎれますように。 ttps://www.youtube.com/watch?v=pCEuSY82kSg

  15. zukamen より:

    ペン吉さん、こんにちは。
    カフェブレイクの情報をありがとうございます。
    さっそく観てみましたので、感想を記事にしました。
    もうひとつあるとのことですので、探してみますね。