明日海りおと花組生徒たちの美しさを堪能する「CASANOVA」の舞台

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前回の記事では舞台の背景についての感想となりましたが、今回は主要キャストの感想を述べてみたいと思います。

 

2019年花組「CASANOVA」の豪華な舞台と…軽くて長い祝祭喜歌劇
明日海りおの退団公演が東京宝塚劇場で18日に始まりました。 ファンの皆さんは「A Fairly Tale 青い薔薇の精」をナマで観ているでしょうが、僕は遠く離れたオーストラリア自宅TVで「CASANOVA」を映像観劇することにしました。 今...

 

 

「ザ・宝塚」としての明日海りおの美しさ

もうすぐ退団する明日海りおですが、この舞台では何より彼女の美しさが際立っていますし、彼女の周りを囲む舞台装置、衣装、そして花組の面々が全てそれを支援しているような印象を受けました。

僕は今の明日海りおは文句なしに宝塚を代表するトップ男役だと思っています。つまり、「ザ・宝塚」ですね。
彼女はその立ち姿の美しさ、観客を魅了するカリスマ性、確かな芝居力、音程のしっかりした伸びやかな歌声で、100周年のときから花組トップとして宝塚歌劇に貢献してきた生徒さんなのです。

オフのときのあのなんとも言えないホンワカとした話し方とのギャップが面白いとよく言われますが、普段のあの雰囲気があるからこそ、きっと舞台のために並々ならぬ努力を重ねてきたのでしょう。フェアリータイプと言われながらも、男っぽさと包容力も見せることのできる稀有な男役です。

そして、だからこそこの「CASANOVA」の舞台には、少々残念だった部分もあります。

恋と冒険がカサノヴァにとっては人生の一番大切なふたつだということはわかりますし、歴史上もそう書かれています。
それでも、そうした人生を明るく楽しく生き抜こうとする彼のまさにプレイボーイとしての生き方だけでは、観客にあとをひく思いを抱かせることはできません。何かもっと彼のその明るい人生哲学の底にあるもの、つまり旅と恋と冒険を続けることの悲哀と孤独感なども合わせ持っていなければ、人間としての深みは見えないのです。

そして、それを表現することのできる明日海りおを使いながら、さらりと彼女の美しさを改めて紹介しただけにとどめたのが、僕には不満でした。

もしかしたら、彼女の退団公演ではもう少し彼女の魅力を細部に至るまで見せてくれているのかもしれませんが…それは、映像で見るまで待たなければならないようです。

 

仙名彩世のベアトリーチェに「手妻の幸」を思い出す

仙名彩世は娘役トップとなってから、しっとりとした「大人の女性」役が多かったように思います。例えば、お披露目となった「仮面のロマネスク」のメルトゥイユ侯爵夫人。そして、芝居としてはすばらしかったけれど、明日海りおの母親役を演らせるのは少々酷ではないかと思った「ポーの一族」のシーラ・ポーツネル男爵夫人。

ですから、今回退団公演で本来の年齢に合った少々おきゃんで活動的な若い女性ベアトリーチェをのびのびと演じている彼女を見るのは、とても楽しかったです。

僕は仙名彩世の代表作は4年前のあの「風の次郎吉」の手妻のお幸だと思っているんですが、今回のベアトリーチェもそれと同じくらいに彼女の生き生きとした芝居が見られました。

それともうひとつは髪型とそのアクセサリーの美しさ。例えば、僕はあのフィナーレのデュエットでの髪を包むアクセサリーを今までに見たことがなく、すっきりとしたAラインの純白のドレスにとても似合っていると思いました。

いずれにしろ、あれだけの才能を持つ仙名彩世が退団後また外の舞台でも活躍することを、願ってやみません。

 

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妖しい魅力をたたえた鳳月杏のコンデュルメル夫人

鳳月杏の女役はほんの少し初日映像で見ただけなので、今回やっと全編観ることができたので堪能しました。妖艶としか言いようがない風情でした。

 

 

以前月組の「New Wave! – 月」を観た時に、彼女のおみ足の美しさにはすでに感激していましたが、やはり今回も有村淳の衣装で大きくスリットの入ったドレスと黒のリボンを巻きつけた長い脚にため息がでました。靴(というよりサンダル)は男役たちより大きくなってはいけないという配慮なのか、とてもほとんどヒールのないものになっていました。

そして、もちろん彼女の音域の広さにビックリです。あれだけ高い声を今まで隠し持っていたということですね。メロディーはシンプルですが、出てくるたびに歌っていた彼女の「主題歌」はいまだ耳に残っています。歌唱力に関しても芝居に関しても、今回は彼女の存在感が圧巻でした。

 

柚香光のコンデュルメルは最後の「美味しい役」ではないか

よく言われていることに「二番手のときのほうが冒険できる役や悪役やおもしろい役が来る」というのがあります。そりゃトップになればいつもいつも一番のイケメン役でなければなりませんから。

今回の柚香光のコンデュルメルがまさにそれで、黒い悪役でありながら所々コメディーのタッチも入っていて、とてもおもしろい役どころだと思いました。本人自身も楽しんで演っていたことでしょう。ちょっと力が入りすぎて、たまに見せる顔芸にはビックリしましたが。

しかし、実に美しい男役です。
今回の一本物は「ワル」でしたが、ショーになってからの彼女の動きにも魅せられました。彼女はどちらかというと「ダンスの人」なのですね。あのファッションCMでの動きの美しさもよく覚えています。

たぶんこれからもダンスに力を入れたトップになるのだと思いますが、イケメンとしての芝居力もぜひ見たいと思いました。

ただしひとつ気にかかったのは、喉に負担がかかっていそうな発声です。コンデュルメルとしては怒鳴っていることのほうが多く、時々聞き取りにくいこともありました。まだ歌に関しても課題となっているのかもしれませんが、今回のドーヴ・アチアの曲は少々難しいものが多すぎたような気もしました。これからはトップなのですから、なるべく負担のかからない発声ができるような歌が増えてくれるといいと願っています。

次に僕がたぶん観劇できる花組は、柚香光・華優希のコンビになっていることでしょう。それがどんな色に変わるかは、柚香光の実力と華にかかっているとも言えます。これだけの光を放ちながら退団していく明日海りおのあとですが、その比較に負けない彼女自身のトップとしての「輝き」を見つけてほしいと思います。

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コメント

  1. びんたん より:

    ものすっごく久々に書き込みます!ヅカメンさんこんにちは!

    カサノバはゆきちゃん最後の大劇場公演だったことと、子供も見れる日程だったので大劇場に見に行きました。
    カサノバ自体はわたしはこういう簡単な楽曲が大好きなので気楽に楽しめて
    とてもよかったです。1本モノにするほどでもないかもしれないけれど。。

    一番感激感嘆したのは、鳳月杏でした。心地よい声で生で聞いても素晴らしかったです。数日間彼女の声が頭に残りました。
    別格とはいえ彼女のポジションは盤石になったような気がしました。異動後も重宝されそうです。

    一番悲しかったのはマイティの扱い。最近のマイティの扱いにはハラハラして、いつぞやのみちこと同じものを感じます。
    (パラダイスプリンスでみち子が出てきたときのあの哀しさと同じで)
    プログラムに写真が出るのは変わらないし、ちゃんとフォトブックも出ているけれど扱いが悪すぎて悪すぎて、、、ハラハラしっぱなしです。まぁ考えてみれば95期が豪華すぎてまだまだ頑張って粘るしかないというところでしょうが、
    今回の役もみりおの側にいるとはいえ、ボロボロのぼさぼさだったので、
    胸が痛かったです。
    中学生の娘でさえ、マイティ可哀そうじゃない?と言い出した次第。

    カレーちゃんは美味しい役だなーとは思いましたが、まぁあんなもんかな。
    ただ今回あとで映像で見て気づいたんですが、今は宝塚もコンピュータ処理ができるんでしょうか。山下達郎みたいに自分の声のハモリが生歌にかぶせられてるんです。驚きました。誰かの陰コーラスかと思ったら違うのですよ。。
    だから音程の不安定さがあまり目立たなくなってます。
    生で見た時はちょっとカレーちゃん歌うまくなった??と思ったんですが、
    映像で見てわかってしまい、本当に驚きました。。。

    今や外部の音楽業界のライブは録音かぶせは普通で、
    過激に踊りまくっても全く息を切らせない録音が流れるライブが主流のようですが。。宝塚はそこまでやらないでほしいなぁ。。

    ゆきちゃんは本当に素晴らしいスターさんで、みりおもユキちゃんが来てから
    包容力を魅せられるようになってよかったですね。
    ちゃんとしたヒロインらしいヒロインをやってなかったので、カサノバでゆきちゃんヒロインを見られてよかったです。来年のミスサイゴンも見に行けたらいきたいなと思っています。

    • zukamen zukamen より:

      こんにちは、びんたんさん。お久しぶりです。

      水美舞斗のことについても書こうと思いましたが、あまりネガティブになってもと思い、断念しました。
      率直に言って、彼女の役はとってつけたようで必要なかったと思いました。舞台に出てきても「何のためにいるのか」もわからず、ただ単にカサノヴァの添え物としての役割でしかなかったからです。これは水美舞斗のせいではなく、完全に脚本の浅さのせいでした。法王とモーツァルトを登場させるぐらいなら、水美舞斗の役をもう少し膨らませてもよかったように思います。それなら、あの神父に法王の「仮の姿」をやらせて最後にあっと言わせたほうがよほど観客は楽しかったでしょう。

      柚香光の歌ですが、コンピューター処理ですか? 
      僕はDVDでもう一度さらっと見てみましたが、どうも歌に彼女自身の録音をかぶせたような場面は確認できませんでした。コーラスが後ろでかぶっていたのはわかりましたが…。

      • びんたん より:

        みりおとふたりの掛け合いシーンです
        何で一人で歌ってるのにハモってるんだろうと思って
        娘とあのハモリ 自分の声だよね!と話していたところです

        今映像は知人に貸し出しているので何分のと頃とは言えないのですが(+_+)

        マイティ 前は声が出せない役だったりもしたし、かなり辛いです(ノД`)
        10年前のみちこのようになってきました、、

        つい先日見るのも辛いと思っていた、昔の宙時代のDVD中古で手に入れたら今は楽しく見ることができましたが(^^)

        • びんたん より:

          何度もスミマセン

          最近時々ネットで登場する
          異論批評は認めないタイプの信者さんに攻撃されるような危険性がありましたら、私の先ほどのコメントは消してくださって良いですよ。
          最近宝塚関係SNS事情に疎くてふと書いてしまいましたがヅカメンさんにご迷惑をおかけするかもと気になってきました。

          お騒がせスミマセン(>_<)

          • zukamen zukamen より:

            びんたんさん、全く問題ありません。お気になさらず、またどうぞ。
            歯に衣着せぬコメントをお待ちしています。