2013年雪組「ベルサイユのばらーフェルゼン編」の大物揃え

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世間では龍真咲の退団会見で大騒ぎのようですが、現在のトップさんたちについてはまだ勉強中なので、時空間をアッチに飛んだりコッチに来たりしながら「リアルタイムじゃない舞台」を鑑賞しています。

昨日は、コメント欄でオススメを受けた2013年雪組の「ベルサイユのばらーフェルゼン編」を観ました。とっちさん、ありがとうございます。

 

大物2人の特別出演でストーリーが少々変更されていた

 

すでに2006年の星組フェルゼン編で、湖月わたるのフェルゼン、白羽ゆりのマリー・アントワネット、朝海ひかるのオスカル、安蘭けいのアンドレを先週観ていたので、ストーリーは同じだろうと思っていたら…全然違っていました。

他組から柚希礼音(アンドレ)と凰稀かなめ(オスカル)という大物2人を特別出演させていたためか、肝心の雪組トップの壮一帆(フェルゼン)と愛加あゆ(マリー・アントワネット)の場面がカットされ、代わりにアンドレが毒を持ったワインを飲ませようとする場面が復活、アンドレの目が悪いことも復活。これだと「オスカル・アンドレ編」と同じですね。

壮一帆のトップの地位に敬意を払って「フェルゼン編」としてありますが、マリー・アントワネットに至っては、40分以上たってもセリフさえありません。どうやら、この大物2人のために、ストーリーが少し改変されているようです。

それでも柚希礼音と凰稀かなめの存在感はただものではなく、僕はこれを「新しいストーリー」として受け入れていました。柚希礼音のアンドレは包容力があり、ハリのある低音でオスカルへの愛を語るともうそれだけで「早く抱いてしまえええええ」と僕などは叫びたくなりました。本当に耐えるひとなのですねえ、アンドレは。そういう「理想の男」を具現した柚希礼音は大したものです。

 

凰稀かなめの切ない表情と柚希礼音のラブシーンの巧さ

 

そして、凰稀かなめのオスカルは…何というハマり役でしょうか。元々華奢なひとなので、その上背にもかかわらず、女性としてのオスカルと軍人としてのオスカルを見事に演じていました。

僕はこのオスカルを観たとき、昔の涼風真世に似ているなあと思いました。彼女も凰稀かなめ同様、妖精のような雰囲気をもった中性的な男役でした。ただし、涼風真世のどこか無表情な顔に比べて、凰稀かなめは表情の端々に女性としての切なさを感じさせ、胸がしめつけられました。このひとには退団しても是非「芝居」をしてほしいと思います。もっと女性としての役の広がりを見てみたいです。

例の「美しく見せるために体がボキボキ言いそうなほど不自然な愛の姿勢」も、故長谷川一夫の演出を踏襲しており、いやはや美しい。

 

 

そして、いつにも増して柚希礼音はこういうキスシーンが上手い。アンドレの腕に添えられていたオスカルの手がキスをされているうちに、段々としがみつくように見えて暗転。いやー、少々エロチックでしたね。

 

 

壮一帆の貴公子としての美しさ

 

壮一帆のフェルゼンは、その貴公子然とした容姿もさることながら、冷たく見える美貌の内からほとばしる愛が歌の端々に感じられ、僕は不覚にもじわりときてしまいました。スウェーデンへの帰国前、宮廷での別れの場面です。いや、これはもう凰稀かなめのオスカル様だって涙を浮かべていましたからね。わかる、わかる。

 

 

そして、アンドレとオスカルの死。
もうセリフまで覚えているほど(なにせ漫画もじっくり読んでいますから)知り尽くした「ベルサイユのばら」でも、どんなに撃たれてもアンドレが死なずに歌まで歌ってしまっても、僕はここの場面で涙を浮かべて鼻をちーんとかむのです。

 

フィナーレの「小雨降る径」と黒燕尾群舞

 

さて、フィナーレ。
ここで出てくるのは特別出演のアンドレとオスカルによる「小雨降る径」です。僕は先日ここにも書いたように、湖月わたるのものが好きですが、それはダンスコンビとしてのバランスがあるからかもしれません。柚希礼音も長身ですが、いかにせんそれよりも大きい凰稀かなめにはかないません。彼女のドレスもこんなふうにバサバサと固く広がるタイプのものより、もっと柔らかく流れるようなドレスのほうが縦に目線が流れてよかったかもしれません。

 

芝居ではあんなに切なく女性としての苦悩を表現した凰稀かなめですが、ここではどうも男役の動きさえ時々現れて、その長身が裏目に出てしまったように思いました。

 

 

そして、もう何が何でも黒燕尾服の群舞です。これがなければ「ベルサイユのばら」は終わりません。宝塚の黒燕尾はいつ見ても何回見ても、ホレボレします。

 

 

壮一帆はこの「ベルサイユのばら」で初めて見ました。
歌も上手いし、芝居もいいし、姿も美しい…でももう退団してしまったのですね。残念です。

 

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コメント

  1. とっち。 より:

    ブログ主様、ベルサイユのばらの感想を早々に書いて下さりありがとうございます。
    柚希礼音さんの大ファンで、何度も観ているDVDなのでブログ主様の感想の場面が、鮮明に浮かび楽しい時間を過ごす事が出来ました。
    ブログ主様の誠実な感想で、今更ながら初めて気付き大変驚いた事があります。
    私の初宝塚、初観劇のベルサイユのばらが、雪組役替わり特集で、何と、フェルゼン役が雪組トップ壮一帆さん、アンドレ役が星組トップ柚希礼音さん、オスカル役が宙組トップ凰稀かなめさん、ベルナール役が現在雪組のトップ早霧せいなさんという豪華絢爛な錚々たる方々だったんです。
    それを気付かせて下さったブログ主様に感謝の気持ちで一杯です。こんな感じの新米宝塚ファンの私ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。

  2. zukamen より:

    とっちさん、
    ベルばらは昔何度も見ましたが、それでも衣装から化粧の仕方に至るまでいつも発見があって面白いです。
    主要トップが全員すでに退団してしまったこの公演ですが、僕もDVDが欲しくなりました。