あまり芸能人のゴシップを見ませんが(と言うより、現在の日本の芸能人のことをあまり知らないのですが)、何度か北翔海莉の舞台上の挨拶を聞くにつけ、彼女の決して流暢ではないけれど心のこもった温かい挨拶が気になり始めました。ありきたりのお仕着せ口上ではなく、自分の言葉で真摯な感謝を述べているからです。
「メリー・ウィドウ」のときには、「ダニーロは5億フランを手に入れたけれど、私には5億フランを手に入れるよりも宝くじに当たるよりも、このメンバーに会えたことが1番のご褒美で宝物で奇跡で本当に感謝しています」と言い、後ろの月組生たちを泣かせました。僕も泣けてきました。こんなことをさらりと言えるなんて、と彼女の人格に感動しました。
そう言えば最新の動向についてはTwitterがあったなと思い、さっそく検索をかけてみたらやっぱり色々とありました。
【新公シェイクスピア】開演前2階下手補助席の公一前理事長に挨拶している茶髪の人がいると思ったら北翔海莉みっちゃんだった。2階7列サブセンで観劇されていた。以前も2階席や後方席でみかけたが本当にお客さま第一な人だなぁ。アンコールの最後まできっちりと観劇されていました。
— noriko sirap (@ku_magoro) January 19, 2016
これは他にも書いている観客がいて、北翔海莉というひとの謙虚さをよく表しています。宝塚の生徒さんが他の組の舞台を観るときは、必ず1階S席だと僕は正直今まで思っていましたから。中の人間であれば、そういう席をとることも簡単でしょう。でも、彼女はしません。客席はあくまでお客様のためのものだからという強い信念があるからなのですね。
正直体はきつい。誰にもわからないように手を抜くことは簡単です。でも手を抜いたことを自分だけは知っているから後からそんな自分を責める気持ちのほうが体がきついことの何倍も苦しいんです。そのことがわかっているから、手を抜くことはできません。 【北翔海莉】
— 宝塚名言特集 (@zizilatupuhi) January 19, 2016
僕はこれを読んだ時、全く別の事柄「人助け」について考えました。
オーストラリアにいると、困っているひとを助けるのは実に自然なことなので、いかに素早く「自分が先に助けるか」ということが念頭にないと、とても人助けさえできない状況です。バスや電車でベビーカーがあるとそばにいる僕は一応待機していますが、いつも誰かに先を越されてしまいます。
ところが、これが東京になると僕は何度か何かしらひとを助けているような気がするのです。それはベビーカーであったり、お年寄りであったり、目の不自由な人であったり、状況はマチマチですが、僕は決してそういう助けを必要としているひとたちを探しているわけではないのですよ。そして、めんどくさいから、またはちょっと恥ずかしいからその人たちを無視できるか、というと「できません」と言うほかはありません。断られてもそれはしかたのないことですが、「助けなかったこと」の後悔を苦く噛みしめなければならないのはもっと辛いからです。
北翔海莉の気持ちもまた「後悔をするのは自分」という事実を無視できないのでしょう。
ビリでスタートしたので、人の3倍練習しないとダメなんですよ。北翔海莉という舞台人は、宝塚の先生と同期と上級生のみんなに作ってもらった姿なんです。 【北翔海莉】
— 宝塚名言bot (@tkz_meigenbot) January 17, 2016
北翔海莉について書かれたものを読むと、必ずと言っていいほど「入学時はビリ」というエピソードがはいっています。全く基礎をやってこなかったのだから当たり前ですが、それを持ち前の努力でどんどんと順番を駆け上がったのは賞賛に値します。ただ、それをまたもや自分の努力は1番あとに持ってきて周りのひとを立てるあたり、北翔海莉らしいということでしょうか。
上級生としていつも心がけているのが”愛情の三つのフリカケ”です。 ”目をかけ、気にかけ、声をかけ” これは永谷園では売っていないフリカケです。
— みっさま bot (@missama_bot) January 19, 2016
いい言葉ですね。これは宝塚だけではなく、上に立つものとしては必ず心がけなければならないことだと思います。なかなかできないことですけれど、それを声に出して自分を律しているのに心を打たれます。
こちらは北翔海莉の18年間の「顔」の歴史です。まだ幼さの残る1998年の初舞台生のころから2015年に星組のトップになった年まで。昔は僕も毎年「宝塚おとめ」を買っていましたが、残しておけばよかったなあ。
@n___syh おとめ98年、99年の北翔海莉さんです。 pic.twitter.com/9LHem57BOy
— Rachel (@KoguRachel) January 18, 2016
さて、僕は彼女のことを美しいと思いますが、アイドルや妖精のようなタイプのほうがもちろん現代的な宝塚の男役トップのイメージなのでしょう。彼女はそういったタイプではなく、むしろ昭和の二枚目の雰囲気が濃く、どちらかと言うと泥臭い男役です。確かに下級生のころの舞台写真や動画を見ると、化粧がヘタクソだということも否めませんけどね。今はかなりよくなっているし、普段の化粧を見るととても綺麗なひとだと思います。
しかし、髪型が18年の間全く変わっていないのが微笑ましいです。音楽学校の「ソフトリーゼント」のまま、ってことでしょうか。
最後に…これには笑いました。いや、苦笑かもしれません。
おじさん…愛を込めて、手を離してください(星組全国ツアー Amourそれは…客席降りにて)
— みっさま bot (@missama_bot) January 2, 2016
先日の「LOVE&DREAM」では真ん中の席で通路から離れていましたが、これが通路だったら僕だってやりかねないなあ。いけない、いけない。自戒を込めて。
次は「こうもり」ですよね。
もう1度奇跡(または出張という名のヤボ用)でも起こらない限り、たぶん僕には観劇できないでしょう。でも、「もしかしたら」メリー・ウィドウのようにスカイステージで放送されるかもしれません。そして、「もしかしたら」どなたかが僕をかわいそうに思って録画してくださる、なーんて新しい奇跡が起こるかもしれません。そういうことを夢見ながら、これからもネットでDVDでひたすら宝塚観劇を続けようと思います。
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コメント
「20年ぶりの涙の観劇」楽しく読ませていただきました。
ビジネスの合間に駆けつけられたとのこと、良いご観劇でしたね。
仕事のストレス(?)もお疲れも忘れ去り、至福のひとときでしたでしょうか。
わたくしも返り咲き組で『大海賊』からですので、懐かしさに胸躍るお気持ちが我がことのように伝わりました。
杜さんの「ギャツビー」「忠臣蔵」以来、深い興味は持てない宝塚でしたが
1年ほど前から20年余のブランクを北翔さん中心に遡っています。
お人柄も含め、どの作品にも感激している昨今です。スカイステージで見聞きするお話しぶりもzukamen様と同じポイントで感激しておりました。
でもやはり歌ウマがポイントNo1ですね!(麻路さきさん・・は・・やはり・・)
北翔さん、本当に今の宝塚に必要な素晴らしい方ですね。専科の時代が無く宙組が最後だったら大きな損失だったと思います。
最近になって実況CD『Guys&Dolls』を手に入れようと思ったら、完売、売り切れ、再販無し!何ということ!
音楽著作権にかかわるDVD、CDの制作は許諾が難しいのですね。
pop popさん、
コメントをありがとうございます。
杜けあきの忠臣蔵は見ました!芝居も歌も上手いひとでしたし、雰囲気も美しかったですね。ご贔屓のひとが退団すると宝塚から遠ざかってしまうというのはよくあります。僕はどちらかというと物理的に遠ざかってしまったことが輪をかけていました。
でも北翔海莉の「大海賊」もご覧になれたのですね。羨ましいなあ。
「今の宝塚になくてはならない人」というのは同感です。「雰囲気が昭和」なのが返って親しみやすいのかもしれません。。
それはそうと、CD「ガイズ&ドールズ」が売り切れとは!
僕も欲しかったのですが、忙しくてそこまで手が回りませんでした。どうしよう…DVDを何枚か送らせたときに一緒に買えばよかった。譲ってくれるひとなんていませんよね…。
その録画、させていただきますよっ!
(かなり、本気です)
しましまさん、こんばんは。
やあ、嬉しいなあ。
やっぱり記事でちょっとお願いして見るものですね!
ありがとうございます。
もしスカイステージで放送の際は、ホントにホントによろしくお願いします。