2004年「薔薇の封印」新人公演の北翔海莉

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先の記事で「当分はDVDなどの昔の映像とその感想を細々と書いていこうかと思い始めました」と書きましたが、それならばと時を遡ること13年前。ここまで昔に行かなくてもと思いましたが、北翔海莉の新人公演を観るのも退団した今となってはかなりノスタルジックではあります。

本公演では紫吹淳が主役でした。
彼女はこのごろではもっぱらバラエティーで活躍しているそうですが、雰囲気がもう全く違います。そのゆっくりとした甘い声のドレス姿を観ると、宝塚時代の彼女が想像できないくらいです。そのギャップがまたたまらないというひともいるそうですし。
さて、北翔海莉の新人公演です。僕はもちろんこのころの彼女を知りませんが、今から13年前と言うとまだ20代前半の研5時代で、大抜擢と言うべきでしょう。

初めて登場したときは、紫吹淳が出てきたのかとビックリしましたが、あとで聞いたところによると紫吹淳が自ら化粧を施したとか。それでは顔が似るのも当然ですね。頬がまだふっくらとして幼さの残る顔ですが、一旦歌に入るとそのなめらかな歌声に後年のスターとしての片鱗を垣間見ることができます。ダンスも手の先にまで神経が行き届いていて、すっと筋の通った美しい振りです。

ただし芝居に関しては、バンパイヤの何百年もの年齢とその苦悩を表現しようと、必要以上に苦しく硬いセリフ回しで、残念ながら後年のあの舞台を自分のものとして自在に繰る北翔海莉の姿は、まだもう少し待たなければならないようです。それでもヴァンパイヤとしてひとの血を楽しむときの顔は、妖しく光り輝き妙にエロティックで、映像ながらドキドキしてしまいました。

新人公演というものは動画でしか見たことがないのですが、新人発掘のために観るのでしょうか、それともまだ駆け出しのお目当ての生徒さんを応援しに行くのでしょうか。
一昔前の新人公演ですから、もちろん現在活躍している生徒さんたちの若い姿もあります。

龍真咲などは名前が出るまでわかりませんでした。化粧が違うからかもしれません。最近(と言ってもここ3−4年のものですが)まだ在団中の彼女の舞台をDVDで見ましたが、若い頃は歌い方やセリフにまだあの独特のこぶしの効いたクセがなかったようです。

こちらは研2の明日海りお。男役というにはまだ女の子のような風情です。そして、一番ビックリしたのは彼女の歌がとんでもなくヘタクソなこと。あれからどういう変遷をしたら今のようなスター性のある美声になるのか、僕には想像もつきません。

星条海斗もチョイ役で登場しています。

新人公演はお披露目でもあるのでしょうが、1930年代の黒燕尾のタンゴ場面などは見事にバラバラで、やはりこれが本公演との違いなのだなと感じました。歌も声が安定していない生徒さんたちが多く、ヒラヒラと裏返ってしまったり、音程が狂ってしまったり、やはりそれを考えると北翔海莉はその中で抜きん出ていました。
しかし、みっちゃんは若かった。

肌はつるりとして「ヴァンパイヤ化粧」をしていてもそのすべらかさがうかがえますし、最後の挨拶のときの声も今より高めです。お化粧も似合っていますし、とにかく美しい。
それでも僕は今の北翔海莉の円熟した歌声、ダンス、そして芝居に惹かれます。長い下積みとも言える時代を乗り越えて培った実力が退団前に花開き、そして今もまだひとびとを魅了しているのだと思います。

 

 

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