「金色の砂漠」のダンスで気になったこと

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もうひとつの「すべりこみ観劇」、東京宝塚劇場の花組公演「金色の砂漠」についてです。書くか書くまいか迷ったのですが、どうしても疑問だったので。

「金色の砂漠」での最後のほう、盗賊の首領として戻ってきてからのギイとタルハーミネのダンスで、2−3度ギイが後ろからタルハーミネを抱きかかえたままふたりで「動く」のですが、あれは「愛の行為」なのですか?

僕だけが邪悪な想像力の持ち主だったのか、どう考えても生々しくてちょっとビックリしました。回りのひとはどうかと思いましたが、皆さんたじろぎもざわつきもしませんでした。

ギイは征服者として国に帰ってきます。
タルハーミネは、だからこそ憎悪と愛の間で揺れ動き、ギイはギイで愛すればこそ、立場の逆転した状況を利用してタルハーミネを犯したのではないかと僕は解釈してしまいました。そして、そう観客に見せる振付も上手いな、と。
ギイが後ろから「征服」しているのも、そう考えた理由です。

昔から征服者は征服された国の女性たちに暴行を働いてきた歴史があり、それが母アムダリヤに対する王とその国への復讐と重なって、どうやら「男としてのギイ」にそのような暴行を働かせたような気がします。

「清く正しく美しく」の宝塚なのに、僕の行き過ぎた想像でしたら申しわけない。

 

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コメント

  1. にゃん魚 より:

    花組、昨日観てきました。『金色の砂漠』は、私はダメでした。
    ギィとタルハーミネが性的関係を持つのは2度ですが、その2度ともレ○プというのがどうも……。
    王族の子に異性の奴隷を付けるのを「しきたりです」で片付けるのは「このお話はファンタジーですよ、リアルじゃありませんよ」という作者のエクスキューズでしょうが、レ○プの中に愛がある、レ○プされて愛が生まれるってファンタジーとしても古いですし、女性が演じるタカラヅカという劇団で観たいお話でもありません。後味がよろしくない。
    作者はもうひとつエクスキューズを置いていて、それが貴種流離です。ギィはじつは滅ぼされた王国の王子なのでタルハーミネと釣り合うんです。そのあたりも不満なところです。
    タカラヅカは愛のドラマを演じる劇団ですから、作品には不倫はもちろん近親○姦も同性愛も三角も四角も出てきます。愛なら何でもあり状態です。レ○プも『エル・アルコンー鷹ー』とかありましたが、『金色の〜』のような後味の悪さは感じませんでした。なぜでしょうね(←って、自分で考えろ(笑)。
    花乃まりあは演技がちょっと一本調子でしたがニンによく合った役でとても美しかったです。
    すばらしかったのは仙名彩世。天井桟敷に近い3階B席にも気品と威厳と感情のふるえがはっきり伝わってきました。トップ娘役お披露目の全国ツァー『仮面のロマネスク』が俄然観たくなりましたが、北翔海莉・みっちゃんのコンサートと日程がぴったり重なっているんですよね(泣
    花組は総じて娘役・女役さんがいいと思いました。男役さんたちは美形揃いでオペラで観るにはいいですが、セリフが聞きとれない人がけっこう多い?
    『雪華抄』は華やかで楽しかったですけど民謡が……ただ歌って踊ってるだけで、風土や土地に根ざした心情が希薄なのがちょっと淋しかったです。
    ※不正投稿として弾かれるので一部文字を○で伏せてあります。

  2. zukamen より:

    にゃん魚さん、こんばんは。
    花組公演のご感想をありがとうございます。
    不正投稿になってしまう語彙ってあるのですか?僕は知りませんでした…。
    ぽろっと感想の中で出てしまう言葉もあるでしょうから、僕も気をつけねば。(と思いながら、簡単にレ◯プなどとそのまま書いたら本当にはじかれてしまいました。なんとまあ。
    僕はあのレ◯プと「見える」性交渉のほかに、互いに愛と憎しみを併せ持つ感情を表現する方法はなかったのではないかと思いました。レ◯プではありますが、誇り高いタルハーミネにとってそれ以外の方法で奴隷のギイと性交渉できる理由が見つかりませんし、またギイにとっては彼女を征服する方法はそれしかなかったからです。
    ギイとタルハーミネは最初から悲劇へと向かっていますので、これがハッピーエンドになるとは誰も思ってもみないでしょうが、後味の悪さというのは僕にはあのジャーの取ってつけたような最後の「兄への呼びかけ」でした。あのまま砂漠の中に消えていってくれたら、もっとヨーロッパ風の終末になったと思います。ハリウッド的な視点だと、物語のあとがきのようなもののためにあの叫びは必要ですから。
    仙名彩世は抑えた演技でよかったのですが、もう少し出番があるとよかったなあ。
    自殺も言葉で語られただけでしたから。
    こんなふうに色々な考え方ができるという点で、普段はもう少しシンプルなストーリーの多いオリジナル歌劇の中では光っていたと僕は思います。