やっと東京に到着し、取り敢えず宙組公演を観劇しました。
ギリギリだったにもかかわらず、まあまあの席が取れて満足。下手通路際の一番端の席ですが、かなり前のほうです。僕のようなノッポが普通に座っても後ろの人の視界を邪魔することなく観劇できて、大変楽でした。(注:以前にも書いたように、真後ろに人がいる席では必ず前に腰をずらせて隣の人たちと同じぐらいの高さになるように調整して気を使っています)
ただし、音響に関してはいいとは言えません。どこにスピーカーがついているのか、下手端っこに座っていると、舞台の上手の声が大変聞きづらいのです。
さて、正月に東京宝塚劇場に来たらまずこの撮影ですね。結構人だかりがしていましたがなんとか撮れました。
異文化に出会うサムライたち、という大胆な発想が面白い
慶長18年、仙台藩がスペインに派遣した慶長遣欧使節団。その中には夢想願流剣術の名手・蒲田治道というサムライがいた、という事実と想像を交えたストーリーの発端にまず興味をおぼえました。
話が進むにつれて、どこかで見たようなストーリー展開だなとは思いましたが。
そうです、つまりマカロニ・ウェスタンです。
英語圏では「スパゲッティーウェスタン」と呼ばれることが多いですが、つまり60年代から70年代にかけてイタリア製「西部劇」のことです。日本で最も有名なのは1964年のクリント・イーストウッド主演「荒野の用心棒」ですね。
それまでのアメリカ製西部劇では「真昼の決闘」のように主人公が高潔で真面目で誠実で…という絵に描いたような「いい人」でしたが、このマカロニ・ウェスタンは違います。主人公には影があり、なにか一癖も二癖もありそうな面構えですし、少々こすっからいところもあります。まあ、こちらの「真昼の決闘」は黒澤明の「用心棒」にとてもよく似ていて、のちには盗作で訴えられています。
さて、話がそれました。
この「エル・ハポン」には、そうした影のある主人公(=真風涼帆)と恋仲となる気丈で美しい女性(=星風まどか)、そして悪そうに見えるが実は善人という脇役(=芹香斗亜)、どう考えても腹の底から悪い奴(=英真なおき)、その息子で悪い奴ですが結局はそうでもないどっちつかずの剣オタク(桜木みなと)などを揃えています。
まさにマカロニ・ウェスタンの登場人物総揃えなのです。
ただし、最初のうちはマカロニ・ウェスタンにありがちなユーモアもあまりなく、かなりシリアスな展開です。が、突如として最後に向かうころからジョークも出てきます。そこらへんはどうもどっちつかずの印象ですね。
登場人物の多さに面食らう
僕は、どちらかというとナマ観劇では予備知識なしで観るほうが好きです。最初の印象というものを大事にしたいからで、もちろんあとでプログラムを読んだり時代背景を再勉強したりしますが、それでもどれだけプロットと展開が面白いかどうかは、やはり予備知識なしのほうが強い印象を残すような気がします。
そして、今回もそのように観劇しましたが…いやはや、登場人物が多すぎて僕には全ての人物が追えませんでした。2度3度と劇場に足を運ぶファンとは違い、一度観ただけでは少々無理があります。そして、初めて観た人たちがとまどうほどの登場人物の多さのせいで、生徒さんたちに色々と役を与えたいという演出家の思惑を想像できても、ストーリーが散漫となるのは否めません。
和希そらが出ているのはわかっていましたが、藤九郎がなぜそうも治道を狙うのかが最初のうちわからず、あとで史実としての和賀との戦いを読んで初めて納得が行きました。
メインとなるストーリーに、さらに色々な小さなストーリーが重なるため、どうも登場人物たちの立ち位置が明確でない場面も多かったです。
さらにこれだけ沢山の登場人物を詰め込んでいたのに、最後はとってつけたような終わり方でどうも納得がいきませんでした。
治道が違法滞在で逮捕されないようにこじつけたのなら、藤九郎や奴隷として連れてこられた娘たちは一体どうなったのでしょうね。
宙組キャストたちについて
初めてナマで観た真風涼帆は堂々とした体躯の武者姿で、動きも舞台向きに大ぶり、華も十分にありました。さすが宙組トップですね。時々こもる声と歌で聴きづらいこともありましたが、それは僕が端っこに座っていたからとも考えられます。
さて、芹香斗亜です。男役としては二番手のうちが一番おもしろいのではないかと思いますが、それは悪役も物語の進行役もおどけた役も全て経験できるからです。その点、今回の「悪そうだけれど、実はいいヤツだった」というアレハンドロは芹香斗亜にとってはとても興味深い役だったのではないでしょうか。ひげまでつけていたので、最初誰だかわかりませんでした。
星風まどかはどうも「天は赤い河のほとり」の印象が強く、宿屋を独りで切り盛りする未亡人としては少々色気が足りないように思いました。歌は上手く、舞台で堂々としているのですが、この役に関してはもう少し艶やかさが欲しいところです。
そして、最後に瑠風輝。
前回DVDで「天は赤い河のほとり」を観たときには気づきませんでした。あのあとに出てきた新人のようです。長身で目立ちますし、今回は治道を助けるという年長のいい役をもらっていました。よく通る声で好感が持てます。あとで、ショーのほうでも少し書きたいと思います。
天彩峰里は日本人奴隷たちのひとりとして出ていました。田舎から出てきた、という設定なのでしょうが、一人称がどうして「おら」でなければいけないのがよくわかりません…。
それでも、冒険活劇という点ではとても楽しく観られた「エル・ハポン」でした。
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コメント
あけましておめでとうございます。
ミッシェルさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。