7月31日に東京宝塚劇場で初日を迎えた星組。
トップとしての礼真琴と舞空瞳のお披露目公演でもあります。
実に4ヶ月間休演となっていた東京公演ですが、今回は知人から初日の「東京宝塚劇場・再開特別番組」を見せてもらいましたので、少々感想を書きたいと思います。
生徒さんたちの微笑ましい舞台稽古風景
特別番組では公演フィナーレ生中継の前に、舞台と衣装を使った稽古風景が紹介されています。
舞台上での稽古は見たことがないので、とても新鮮でした。化粧もカツラも衣装もつけて完全に舞台の人になっているのに、仕草はご本人のままの自然な雰囲気だからです。
周りの生徒さんたちが礼真琴のカツラの流れを直してあげていたり、ヒゲをつけた瀬央ゆりあが礼真琴と口に手を当てて女の子のように笑いころげていたり。
何よりもビックリしたのは、横からみた大階段です。なんですか、これは。この幅の狭い階段をよくもまあ踏み外さずに、それもハイヒールの靴やロングドレスで降りて来られるものです。自分の靴のサイズより狭い階段ですよね。
それで突然思い出したのは、蘭寿とむと一緒に退団した花組スター月央和沙の足が26cmだったことです。26cmのサイズで靴を履いたら確実に27cmほどの長さになることでしょう。それで23cm幅の階段を降りるなんて、僕には想像もできません。
礼真琴の大羽根姿とその実力を垣間見る
礼真琴は数年前に観劇を再開したときから、どうも気になって仕方がない生徒さんでした。ですから、記事もかなり沢山書いています。
普段は丸顔で今どきの若い女の子のような風情ですが、舞台に立つとその歌とダンスの実力で他の追随を許しません。あの愛らしい顔から出るとは思えないほど艶のある低い声も魅力的です。
燕尾服の中央に立つ彼女の「フォッ」を聞いた時には、「こりゃやっぱりナマ観劇しなければ」と思いました。大体、殺陣やダンスの速い動きにコンピューターのメモリーが追いつかず、所々遅くなったり止まったりしましたから。これはオンライン観劇でも起こりうることなのかもしれませんね。
フィナーレの大羽根姿には、ため息がもれました。
たぶん会場のファンの皆さんも同じような思いを抱かれたことと思います。礼真琴がトップになったのですから。これからは、この大羽根の重みを背に様々な舞台を見せてほしいと切に願っています。
舞空瞳の愛らしい笑顔と「舞い」の美しさ
そして、舞空瞳とのデュエット。
美しい流れるようなダンスに見とれてしまいました。ダンス達人コンビの誕生と言ってもいいでしょう。特に最後のポーズに後ろからライトが当たった場面にはホレボレとしました。ダンスの上手い生徒さんたちは、ポーズでも身体の隅々まで神経が行き届いていて、見ていてほっと安心できる良さがあります。
フィナーレの最初のほうでピンクのドレスで出てきたときには、あまりの愛らしさにこちらの口元までほころんでしまいました。歌は…もう少し精進していただくとして、その美しい立ち姿と長い手足、そして若々しい笑顔が印象に残りました。
「ロックオペラ・モーツァルト」の時より、堂々としたトップ娘役となっていますね。(モーツァルトのほうはすでにBlu-rayが届いていますので、近いうちにじっくりと鑑賞したいと思います)。
いずれにせよ、もっとダンスが観たくなる、これからが楽しみな生徒さんです。
愛月ひかると瀬央ゆりあ
専科に行ったと思ったら、1年もたたないうちに突然星組に配属されて二番手となった愛月ひかる。こういうこともあるのですね…。
大柄で歌もダンスも芝居も全てこなすひと…というと、どうも僕なんぞは北翔海莉を思い出してしまうのですが、愛月ひかるも実力がありながら、どうもその実力がジャマしているのではないかと思うひとりでした。
専科に行ったときには、これで路線から外されてしまったのだろうかと思いましたが、どうしてどうして、戻ってきましたね。それも、星組に。
こういう存在感のあるオトナを演じられる二番手が、新生星組のフレッシュな若々しさに必要だったような気がします。二番手羽根を背負って大階段に登場した時には、やはりこの人事は適切だったのだと思わせ、堂々と舞台を大きくみせていました。
そして、瀬央ゆりあ。
この人は、最近では「龍の宮物語」が絶賛され話題になりましたが、こちらも三番手(ですよね?)としてかなり重要な役を与えられているようです。芝居のほうはまだ観ていないのですが、ヒゲをつけた美丈夫です。
とにかく、星組はこれからがおもしろそうです。
どこをとっても危なげのない生徒さんたちで充実していて、これからどんな芝居とレビューを見せてくれるのか、日本に行けないのが残念でたまりません。
9月の千秋楽まで中止にならないことを願ってやみませんが、千秋楽もオンライン観劇が可能なようで、次回はその可能性を模索してみたいと思っています。
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