2019年「ハリウッド・ゴシップ」で古き良き時代の白黒映画に思いを馳せる

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僕は実は古い映画が大好きです。

まだ生まれる前の白黒映画の大仰な身振りと古風な衣装、そしてあの製作に大金を湯水のようにつぎこんだミュージカルの数々。

そんな雰囲気を持つ「ハリウッド・ゴシップ」は去年購入した大量のDVDのうちのひとつでした。

 

華やかなハリウッドの栄光と挫折

 

ハリウッド映画界の裏側を描いた映画なら、代表的なものがふたつあります。

「サンセット大通り」と「イヴの総て」です。どちらも1950年の白黒映画で、さすがの僕でもまだ生まれていません。が、後年何度も観た映画でしたし、両方ともDVDとしても所有しています。

宝塚の「ハリウッド・ゴシップ」は少々「彼らの将来は本当に大丈夫なのか?本当にハッピーエンドなのか?」という余韻を残しながらも、大変よくまとまっていて、なごやかにほっとするエンディングでありました。そこが映画のどこかドロドロとしたものを感じさせるエンディングとの違いです。

また、ストーリーが終わった後にはもちろん宝塚ならではのフィナーレがあり、燕尾服とロングドレスのダンスが楽しめます。この部分もやはり古き良きハリウッドのスタイルを継承していて、ストーリーのエンディングとともにもう一度観てしまいました。

色々詰め込みすぎて破綻してしまうオリジナル・ストーリーもある宝塚演劇ですが、この舞台は場面展開もスムーズで、軽やかで心地よい雰囲気が全体に漂っています。所々あるシリアスな部分はさっと後追いされない程度に、しかし観客に考えさせる余地を残しているところが上手いな、と思いました。

 

「サンセット大通り」に設定が大変よく似ている

 

よく似ているというより、1950年の映画「サンセット大通り」のツギハギが見てとれます。
映画のほうは、無声映画の年老いた大女優ノーマ・デズモンドが再起を夢見て脚本「サロメ」を書き、それをこれまた売れない若い脚本家に編集を依頼していつしか愛人関係に…。

結局共同で脚本を書き始めた若い女性と恋に落ちた脚本家が出ていこうとするときに、ノーマが彼をピストルで撃ち殺してしまいます。この彼がうつ伏せでプールに浮かんでいるところから映画が始まるのですが、見事な伏線となっています。

最後には、この大女優ノーマの執事にしてかつての夫、しかも往年の監督であった男性が、彼女のために「大階段から降りるサロメ」を演じさせます。その階段の周りには警官たちとゴシップメディアの記者たちが詰めかけていますが、すでに半分狂った彼女はそれが映画撮影のエキストラたちだと勘違いして、演技をしながらカメラに近づいていくところで終わります。

この狂気の仕草と表情で、実はやはり無声映画の大女優であったグロリア・スワンソンが名演技を見せています。最後に撃たれてしまう若い脚本家は、オードリー・ヘップバーンの「サブリナ」で相手役をしたウィリアム・ホールデンでした。

大昔の白黒映画ですが、トーキーに変わったときに無声映画俳優たちが次々と消えていった時代、そしてその栄光にしがみつくかつての大女優の妄執が見事に描かれていて、一度見たら忘れられない映画です。

さて、その設定と人物がツギハギながらこの「ハリウッド・ゴシップ」にも出てきます。

例えば、梨花ますみの演じる往年の大女優アマンダ・マーグレット。映画と同じように「サロメ」の脚本を書いています。最後に

そして、ハリウッドスターのジェリー・クロフォードが栄光の立場を逆転されて薬に溺れていき、狂い始めるところは映画のノーマ・デズモンドを彷彿とさせます。

新進女優のエステラ・バーンズは、映画の中の脚本を共同執筆していつかウィリアム・ホールデンのジョーと愛し合ってしまうベティーにとてもよく性格が似ています。

映画の状況と主人公たちの性格を大変うまく使って、それをふくらませながらできたのが「ハリウッド・ゴシップ」なのでしょう。全体から見れば、設定は同じでも違うストーリー仕立てになっていますが、「サンセット大通り」にかなり影響を受けている舞台だと思いました。

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DVDにあまり映らない新人たちと背景の看板について

 

僕が観ていたのはまだ早霧せいなのころの雪組、そして望海風斗がトップになったばかりのころですから、その間が抜けています。DVDは買っていますが、ナマの舞台を観ていないというハンデは「名前と顔が一致しない」「DVDにはあまり映らない新人たちが全くわからない」ということだと思います。

今回の舞台は役柄があまり多くないためか、若い生徒さんたちにまで目が届かないのが残念でした。

また、些細な事ですが、二人が知り合った場末のカフェにあるメニューの看板。スペルが間違っています…。最後にGRILLED CHEZと書いてありますが、これはたぶんGRILLED CHEESE(=グリルド・チーズ)ですね。毎日観ているひとたちの中には英語がわかるひともいたでしょうから、誰か指摘してあげればよかったのに、と思いました。舞台のど真ん中の看板でしたから。

長くなりそうなので、配役の感想については次の記事にします。

 

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