2019年「ハリウッド・ゴシップ」彩風咲奈の主演舞台を初めて観る

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色々なニュースについての感想を挟んでいたら、キャストの感想がすっかり遅れてしまいました。で、もう一度観ました。情けないですが、忘れてしまったこともありますからね。

 

2019年「ハリウッド・ゴシップ」で古き良き時代の白黒映画に思いを馳せる
僕は実は古い映画が大好きです。 まだ生まれる前の白黒映画の大仰な身振りと古風な衣装、そしてあの製作に大金を湯水のようにつぎこんだミュージカルの数々。 そんな雰囲気を持つ「ハリウッド・ゴシップ」は去年購入した大量のDVDのうちのひとつでした。...

 

さて、今回は主演のふたりと脇を固めていた彩凪翔についての感想を書きたいと思います。

彩風咲奈 – コンラッド・ウォーカー

 

僕が初めて彩風咲奈の芝居を観たのはDVDの2016年「ドン・ジュアン」でした。

 

彩風咲奈、香綾しずる、有沙瞳:2016年雪組「ドン・ジュアン」の脇役たち
前記事からの続きです。 脇役としての彩風咲奈たちがとてもよかったので。 彩風咲奈の物静かなドン・カルロとその役づくり 最初に暗闇の中から身を起こしたときの彩風咲奈は、その悩ましげな視線と半開きの口元のせいで、まさに今うたた寝から起きたという...

 

その前の2017年には東京出張中に「幕末太陽傳」をナマで観ているのですが、そのときは残念ながらあまり記憶に残っていません。
そしてその次に観たのが2018年「ファントム」のキャリエール。ここではあまりに感動したので、彼女のために記事をひとつ別に作ってしまったほどです。

 

「ファントム」のキャリエール:彩風咲奈の静かで悔恨に満ちた存在感
実はこの記事では、トップコンビ以外のキャストについて書きたかったのですが、意外に長くなってしまったので彩風咲奈だけに絞りました。 …というより、僕が彼女とキャリエールについて長々と語りたかっただけかもしれませんが。 「ファントム」にはこの直...

 

そんなわけで、僕はその後彼女が望海風斗の次にトップの座につくとニュースで知ってはいましたが、まだ主役としての舞台を観たことがありませんでした。そこで、やっと今回観劇したのがこの「ハリウッド・ゴシップ」です。2019年、まだコロナが流行り始める前の作品です。

彩風咲奈、真ん中の似合ういいスターになりましたね。

今回のコンラッドは、最初出てきた時のもっさりとしたいかにも田舎者のジャケットなどから、真紅のマタドール姿、そしてスーツとタキシードの洗練された立ち姿など、色々と目を楽しませてもらいました。

実は僕は彼女の半開きの口で流し目を送る雰囲気に浸ってしまうひとりです。

僕の好きな宝塚OGにはもちろん北翔海莉がいますが、彼女はこうした悩ましげな流し目をするより、きりっとした強い視線を送るのを得意としていますが、対照的でとても興味深いです。

ちょっとほろ苦いエンディングと相まって、最後のダイナーで踊る姿もすばらしくかっこよかったです。もっさりジャケットに戻っていましたが、ウエイトレス姿のエステラとの成功とは縁のない生活が待っているにもかかわらず、二人の最高の笑顔に癒やされるラストでした。

 

潤花のエステラ

 

なんという笑顔の美しいひとだろう、というのが最初の僕の印象です。かわいらしい、というのではなく、大輪の薔薇を見るような美しさです。

初めて見た娘役ですが、彩風咲奈との相性もよく、このまま次のスターカップルになるのだろうかと思ったら、宙組へと組み替えになり、真風涼帆と組むトップ娘役に就任するとのこと。で、宙組から専科に移った星風まどかが今度は花組の柚香光と組むトップ娘役に。

最近の専科入りでは、星蘭ひとみ、愛月ひかる、そして星風まどかが全員そろって「腰掛け」の専科から色々な分野(または組)に飛び出しています。宝塚も段々と変わってきましたね。

閑話休題。話が飛んでしまいましたが、潤花のエステラです。

ダンスが華やかで得意なようで、彩風咲奈とのダンス場面は圧巻です。ただし、歌はまだ精進が必要ですね。芝居を見たかぎりでは、艷やかではっきりした発声ですので、これからどれだけ伸びるのかが勝負どころでしょう。

 

彩凪翔のジェリー・クロフォード

 

梨花ますみ演じる、往年の大女優を足がかりにしてのし上がった野心的な美しい俳優、ジェリー・クロフォード。彩凪翔が、白いタキシードなどという僕がきたらカカシになってしまうような難しい派手な衣装を見事に着こなしていました。

まさに1920年代のハリウッドに存在していた美しいスターそのままでした。

前半では、そうした彼の「野心」を追っていましたが、まあこうしたハリウッド期の映画に多かった女たらしの敵役なのだろうなと思っていたら、後半でいきなり薬づけになり、「ハリウッドの栄光と挫折」という少々ありきたりな話になってしまってビックリしました。

その後半の狂うイケメンを彩凪翔が好演していましたが、ひとつだけ苦言。
目に狂気が見られないのです。これはたぶんまだ「演技」のうちだろうなという印象を持たざるを得なかったのが少々残念でした。望海風斗や轟悠のルキーニのように、ぞくっとするような不気味な目の光がないように思えたのです。

 

オマケではなかったフィナーレのショー

 

宝塚の芝居には必ず最後に華やかなショーがつきます。
このショーは僕も楽しみにしていますが、一度だけ過去に少々疑問に思ったショーがありました。昔記事にしましたので、ご興味のある方はコチラをどうぞ。

 

続「LOVE&DREAM」のシナーマンを思う - オリジナルから北翔海莉へ
「ノバ・ボサ・ノバ」はその後1976年に再演されましたが、その時のソール役は安奈淳でした。僕が見たのもこの公演です。残念ながら、今となってはあまり覚えていませんが。 映像は周りの生徒たちの顔もわからないくらい粗悪ですが、それでも安奈淳の迫力...

 

今回のショーは、あのほのぼのとしたラストから一転して二人のタキシード紳士彩凪翔と縣千がタンゴを踊ります。ここはあの有名な「ジェラシー」を思い出しました。

 

2005年「ゴールデン・ステップス」の湖月わたる、朝海ひかる、瀬奈じゅん
羽山紀代美の振付家としての30周年記念公演「ゴールデン・ステップス」は、ダンス・リサイタルの副題のごとく、まさに彼女振付の名場面が余すことなく紹介されています。 2005年と言えば今から15年前、僕がまだ宝塚観劇から遠ざかっていたころのこと...

 

必見です。
そのときより派手です。なにしろ、ふたりの男役が代わる代わるリフトまでしてしまいますから。

そして、その後に彩風咲奈を筆頭とした男役群舞。もちろん伝統的な正統派タキシード姿です。でも、僕が今回ため息の出るほど惹かれたのは、彩風咲奈と潤花のデュエットでした。

いや、こちらが気恥ずかしくなってしまうほどの、何というのでしょう、「いちゃいちゃ」ダンスなのでした。つっついたり、指でピストルを作って撃ったり、それをほほえみながら受けたり、キスをかわしたり、通常のダンスというよりはどうも作品の延長上にあるふたりの愛情表現と言ってもいいダンスでした。
こういうダンスを見たのは初めてです。「風と共に去りぬ」のフィナーレでも、ちょっと触れておすまししてしまう場面がありましたが、ここではそれがずっとデュエットの間中続いていました。

いやはや、僕のようなジジイでも赤面してしまうような愛情表現のデュエットは、宝塚だからこそこうして気品のある美しいダンスとして完成するのですね。男女のダンスではもっと生々しくなって、ここまで観客に余裕のある微笑みをもたらしてはくれません。

この記事をアップしたら、もう一度デュエットダンスを見て来ます。

 

 

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コメント

  1. たれぱんだ より:

    zukamen様、大変ご無沙汰しております。
    いつも記事を拝見するのみだったのですが、今、1番応援している彩風さんの記事でしたので、思わずコメントしてしまいました。
    ハリウッド・ゴシップは有難い事にかなり良いお席で観る事が出来たのですが、とにかく彩風さんが素敵で。フィナーレのデュエットダンスを観た際、そうか、主演以外はデュエダンは出来ないんだ…早くトップになって欲しい、と思ったんです。
    彼女のダンスは大浦みずきさんを彷彿させるなぁ、と感じるのですが、なつめさんのファンの方には怒られてしまうでしょうか?私の大浦さんに対する印象は、羽根が生えたような軽いダンス、なんです。彩風さんも軽やかに美しく踊られるなぁ、と。(美しいダンスと言う点では、暁千星さんも大好きです。)
    プレお披露目は「ヴェネツィアの紋章」なんですが、彩風さんで再演を願っていましたので、大変楽しみです。

    • zukamen zukamen より:

      たれぱんださん、お久しぶりです。

      2019年ですからまだコロナ禍のせいで観劇状況が変わる前の公演だったんですね。ナマ観劇、羨ましいです。
      デュエットダンスはこちらまで微笑んでしまいそうで楽しかったです。僕も大浦みずきは大好きで彼女のダンスにはいつも釘付けでした。彩風咲奈がトップになったらぜひ一度はナマで観劇したいものです。いつになるかわかりませんが…。