2002年のTV映画「愛と青春の宝塚」はDVDで観ましたが、ずいぶん昔のことです。
宝塚トップスター役の藤原紀香があまりにも男役の姿からかけ離れていて、背が高くてすらりとしているだけでは宝塚の男役にはなれないんだなあと感じました。今や懐かしい海峡ひろきが宝塚OGとしてつきっきりで立ち居振る舞いの指導をしたそうですが、それでも動きはぎこちないし舞台化粧も全く似合わず、舞台の場面ではTVの前で苦笑がもれました。
ストーリーは虚実織り交ぜた戦時中の宝塚生徒たちの愛と死がメインであり、舞台は二次的なものであるのはわかりますが、宝塚ファンが見たら僕と同じような感想を抱くと思います。
後日、舞台でも芝居として上演されたと聞きました。2008年新宿コマ劇場のファイナル公演です。一幕一場ですが、オリジナルミュージカルとしてこの宝塚風プロローグは嬉しい限りです。
全て宝塚現役とOGからなる舞台は華やかで、そのあとの第2次世界大戦突入と踏みにじられた恋と死に至る病への対比がうまく表現されていて、TV映画とは異なり、僕はかなり引き込まれてしまいました。高城けいのタッチー、そして大鳥れいのトモ。どちらも可憐でうまい役者たちです。
ところが、僕はこの湖月わたるという恥ずかしながら今まで知らなかった宝塚の「元」男役にとても惹かれました。彼女がトップスターとして活躍していたのは、僕が宝塚から完全に離れていた時期に当たります。すでに海外にいましたから直接観賞できなかったのは当然ですが、それでも残念でなりません。長身で骨太、どちらかというと泥臭い風貌のひとですが、その舞台はおおらかでダイナミック、オトコっぽい仕草にセクシーな流し目が光ります。
その彼女が、舞台の上で「舞台を降りて等身大の女性になったとき」、愛する脚本家を見る恋する乙女の眼差しがいじらしくて、僕は目が離せなくなりました。その後、湖月わたるの名で様々な動画を検索していきましたが、その話は後日ということで。
最後に、この湖月わたるとダブルキャストになっていた紫吹淳がT4というグループを結成して最初で最後のコンサートを開きましたが、その中に「愛と青春の宝塚」のパロディーもありました。
全くの先入観なしでパロディーとも知らずに見たおかげで、いやはやコンピューターの前で大笑いをしました。こういうふうに自分たちを笑い飛ばすことのできるおおらかな宝塚気質も僕は大好きです。
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