2013年月組「メリー・ウィドウ」の北翔海莉と仲間たちに感動

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「メリー・ウィドウ」は実は本場ウィーンで観たことがあります。オペレッタは重厚なオペラ悲劇とは違い、軽い喜劇なのでどちらかというと大衆劇のカテゴリーで、笑いながら楽しめるものです。
僕が観たのは、お正月のイベントのひとつでコンサートとしてのメリー・ウィドウの一場面です。どちらの主役もオペラ歌手の堂々とした風格(と体格)でしたが、ダンスも軽やか、歌う曲はウットリするほど美しいものでした。

宝塚の「メリー・ウィドウ」は、ミュージカルですから、ダンスにも力が入っていてそれはそれは楽しいものでした。もちろんナマではなく録画でしたが、それでも会場の熱気は十分伝わります。
北翔海莉の鮮やかな歌とダンスは全く危なげなく、周りの月組選抜メンバーたちの団結力と才能に唸り、もう楽しくて楽しくて僕はコンピューターの前で手拍子を打ちそうになりました。

星条海斗のコメディーのセンスと凪七瑠海の歌唱力にも脱帽、です。

しかし、北翔海莉のカンカンには驚きました。若い月組生たちに混じって1番高く足を挙げるその体力と筋肉のしなやかさ。暁千星のダンスはちょっとした余興と将来への予感を見せて観客を楽しませますが、それは北翔海莉の全編通しての存在感を上回るものではありません。

収録は千穐楽だったようで、最後に星条海斗がお礼の言葉を述べましたが、ここで手放しに北翔海莉をベタ褒めです。涙で言葉を詰まらせながら、彼女の普段の細やかな気遣いとその人柄をも述べて、観客の心を打ちます。きっと、月組からの20人ほどの生徒たちも北翔海莉との仕事に意義を見出したことでしょう。

北翔海莉が言葉を述べているとき、僕はその後ろの咲妃みゆの美しさと涙に見とれていましたが。

最後に北翔海莉が感謝の言葉に詰まったとき、会場から「みっちゃん、最高!」の声が。ここで彼女は初めて手で顔を覆って涙をこらえ、口元を震わせました。

こういう私的な感動は本公演ではあまり見られません。メリー・ウィドウのような一本公演は期間も短く、生徒たちもその分緊張を保ち続けられるからかもしれません。

でも、僕はこの公演に何か別のものを感じました。音楽はナマではなく録音、そして生徒たちの数も本公演に比べたら1/3以下です。それでも、北翔海莉の人柄に惹かれる生徒たちの温かい拍手に、何かひとつのものをつくる団結力と信頼が感じられたのです。そして、それが当時専科だった彼女を頂点とし、月組生徒たちが一丸となった舞台の力強さでもあったのでしょう。

僕はこれを観て、北翔海莉という長年トップになれなかった「才能も華もあるひと」をこのまま専科で「使い勝手のよい何でも屋」として埋もれさせてよいのか、と本気で思いました。しかしその後星組トップへと就任したことを知り、ようやく陽の目を見た北翔海莉が、これからも長く様々な公演を続けてくれることを切に切に望んでいる次第です。
(というより、僕だって一度は彼女の舞台をナマで観たいのです…)

 

 

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コメント

  1. とっち。 より:

    明けましておめでとうございます。
    今年も宜しくお願いします。
    年末年始はブログ主様のUPして下さった〔JUST ONE LAST DANCEの映像とBackの音楽の素晴らしさに感動して何度も繰り返し見ていました。お正月の特番より素敵でした。
    メリーウィドウ、温かさが伝わりとてもいい映像でした。
    北翔海莉さんにはまだまだですが、
    暁千星さん、昨年「1789バスティーユの恋人たち」でフェルゼン役とバウホールで公演した「AーEN」で主役、ダイナミックなダンスで頑張っておられました。

  2. zukamen より:

    とっち。さん、明けましておめでとうございます。
    こちらこそ今年もよろしくお願いします。
    暁千星さん、童顔でまだ若いけれど将来大きくなりそうで楽しみですね!
    男役としての声がまだ出来上がっていないので、それはこれからの課題だと思います。
    でも大柄でそれを活かしたダイナミックなダンスがもっと見てみたいと思わせる新人です。
    「1789ーバスティーユの恋人たち」はDVDを買いました。これから楽しみに観るつもりです!

  3. とっち。 より:

    返信ありがとうございます。
    「1789ーバスティーユ」DVD買われたんですね。
    ブログ主様の感想が今から、楽しみでたまりません。わくわくです。

  4. 真実一路 より:

    何度も録画を見ました。全てが最高と思います。出演者が楽しくて仕方ないと思い演じているのがよくわかります。笑いと感動と涙。なんだこれは。宝塚の作品の中で私の推薦する最高の作品はこれです。幾度見ても楽しい。北翔海莉は永遠の役者として足跡を残せた。出演者も最高の思い出として残っていると確信している。

    • zukamen zukamen より:

      真実一路さん、こんにちは。
      「メリー・ウィドウ」は本当に楽しいですよね。一応「二番煎じ」という形で「こうもり」も北翔海莉主演で舞台になりましたが、僕はメリー・ウィドウのほうがはるかによくできていたと思います。恋愛も絡まっていましたし。