「30年前の男役みたい」と言われた下級生時代の北翔海莉

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さて、今日はTwitterで見つけた対談の抜粋。
北翔海莉のメモリアルブックに含まれていた対談なのかもしれませんね。どなたか全文をご存じですか?

僕は北翔海莉の舞台(それも「LOVE&DREAM」以外は映像のみ)に再度熱を出してしまった、往年の宝塚ファンです。彼女の言う「30年前の男役たち」にゾッコンになり、歌劇と宝塚グラフを舐めるように読み、宝塚おとめでシッカと芸名を覚え、当時今よりはるかに少なかった舞台を観に東京宝塚劇場に通った大学生(その後はサラリーマン)でした。

昨年末あたりからまたネットで宝塚の記事を観たりDVDの大人買いをし始めましたが、まだそれほど現在の生徒さんたちを知っているわけでもなく、「キレイだね」「ダンスが上手いね」程度の関心だった僕の目が見開いてしまったのが北翔海莉のガイズ稽古風景と「メリー・ウィドウ」映像でした。

だから、北翔海莉自身が言っている「30年前の男役たち」の存在感を覚えている世代です。「昔はよかった」と書くつもりはありませんが、確かにそのころの大スターたちはオーラがあり輝いていました。大らか、というのは結局実力の与える自信と成るべくして成ったトップとしての誇りにあると思います。もちろんその後ろには苦しい試練もあったでしょうが、それは現在のようにネットで何でも手に入る時代とは違ってただの1ファンには知る由もありませんでした。

僕は一度トップ任期の短かさについて記事を書いたことがありますが、昔は7−10年もトップとして君臨する男役がザラにいました。

でも、東京宝塚劇場は年に3度ほどの公演で、今のように大劇場の演目がそのまま1ヶ月後には東京でも上演されるというわけではなく、だから僕が観劇していた時代でも知らない演目が沢山ありました。スカイステージもありませんでした。パーソナルブックなどの特別な撮影も今ほど多くなかったでしょう。つまり、生徒さんは空いた時間をもっと稽古に当てることができたのかもしれません。今は、時代に合わせて誰もがただ忙しく走っているように思えます。

北翔海莉も「これが体力の限界」と言っていますが、トップとしての忙しさとストレスは計り知れないものです。それを考えると、任期2−3年が妥当となるのだと思うようになりました。

もうひとつ、アイドル若手の生徒さんたちにもチャンスを与えなければ、当人もファンも納得しないと思います。スカイステージでファンとなったひとたちをつなぎとめておくためにも、そうした早送りが必要になってきます。

現在の生徒さんたちはそれこそ本当に美しく背が高く、まるで少女漫画から抜け出てきたような素晴らしい容姿を持っています。スカイステージで見る彼女たちは確かにアイドルであり、熱烈なファンが夢のような舞台を普段の彼女たちに重ね合わせて幸せになるのもわかります。

新しい時代の息吹を吸収することも大切ですし、また新しく生まれたファンたちへ歩み寄ることも必要なのです。

でも、宝塚の伝統も守り30年前の良い所も取り戻す、という北翔海莉の言葉は、そのまま彼女の実力をゆるぎないものにした努力、そしてそれを誇ることもなくさらに高みに向かって歩む決意のような気がします。だからこそ、「体力の限界」への挑戦でもあったのでしょう。

この対談自体は「90年余りの伝統」という文面から読み取る限り、今から10年ほど前に行われたようです。そしてそれほど前から北翔海莉はこんなふうに思っていたのだと知ったことで、僕が彼女に惹かれたのは、その内に潜む宝塚の伝統の再発見とトップとしての長年培われてきた器量でもあったと、今さらながら気づいた次第です。

 

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コメント

  1. ゆく道 より:

    こんにちは
    早速ですが、北翔海莉メモリアルブックです。
    2006年の演出家の植田景子さんとの対談です。
    北翔さんの21年間がこれでもかというくらい満載です。
    是非購入をお薦めいたします。
    またメールいたします。

  2. zukamen より:

    ゆく道さん、こんばんは。
    やっぱりメモリアルブックでしたか。ありがとうございます。
    もちろんもう買いました!
    が、当分ゆっくり見る暇がなさそうなので東京に送りました。
    DVDもまとめてまたオトナ買いなるものをしましたので、正月に実家に帰るとかなりな荷物になりそうです。

  3. ムコ より:

    zukamenさん、こんばんは。こちらのブログは
    久々に宝塚に戻ってきたけど、北翔さんに気づくのが遅れた!
    と思っている人たちの憩いの場になっているようですね(笑
    わたしもメモリアルブック、手に入れましたが、まだ熟読していないのです。
    これは本当に読みごたえ、見応えがありそうですよ。
    CDは曲がかぶりすぎていてね、、DVDも多分北翔海莉ラストデイ
    ってのも出るでしょうから、そっちにサヨナラショーも入るんじゃないかと
    思ったり。
    あまりにも重複が多いので若干もやっとしますね。
    さてこの記事。わたしもハッとしました!
    わたしも元々そう思っていましたよ。昔の昭和のスターみたいだなと。
    でもみっちゃんは若いころから、下級生のぽやぽやみっちゃんだった
    時代から、周りにそういうことを言う人がいて、自分はそういう
    タイプなんだとわかっていたんだなと。
    若いみっちゃんがそこを受け入れて、伸ばしていったんだなと。
    バレエも歌も何も知らずに入ってしまった15歳の少女、
    同世代のやる気満々の女子たちの中では、何もできないのに
    一発合格した妬みもあったでしょう。やはりチクチクといじめられたりは
    していたようです。それでも未経験で合格させてもらった運命を受け入れて
    黙々とまっすぐに努力してきた姿が今の北翔海莉なんですね。
    千秋楽の完璧で重厚感のある舞台と挨拶。
    最後に薄化粧で出てきた緑のはかま姿のみちこさま。
    少女のような清純な笑顔なのに、凛とした品も芯もある美しさは
    飾りを必要としない内から醸し出す光に溢れていて眩しかったです。
    わたしが子供の頃に見たうっすらとした記憶の中の
    昭和の大スターたち(あんなじゅんさま、おおとりらんさま、
    あさみれいさま、、あたり)を彷彿とさせました。
    桜華に舞えでは、みちこさま扮する半次郎が
    「生まれてくるのが遅かったかねぇ」と言うのです。
    齋藤氏がこれまでのみちこさんのタカラジェンヌ人生にかけて
    言わせたのでしょう。
    でもみっちゃんが現代に生まれてきてくれてよかった!
    40年前(10年前に30年前と言われたので今だと40年前ですよね)ののんびりした時代より今の方がタカラジェンヌは
    ずーーっと忙しいと思いますし
    今の方がずっと売上の重圧がありストレスがあると思います。
    そんな中でも、ただひたすらに「清く正しく美しく」
    何も知らなかった経験のなかった15歳の少女が20年かけてこんな
    眩しいスターになれる、宝塚の夢を見せてくれたことに
    本当に感謝しています。
    北翔海莉は劇団のお手盛りの宣伝など必要のない、本当の意味での
    伝説の大スターになったんだなと改めて感じました。

  4. さえぽん より:

    今日は
    zukamenさんは 私達が心の中で感じていて 上手く言葉に出来ない気持ちを 巧みな文章で表現して下さるので こちらのブログに惹かれるのでしょうね。
    上田景子先生との対談は2006年 月組最後の公演時のものでした。
    初舞台から 岡田先生が 北翔海莉をかっていた事がわかりました。
    北翔海莉が 自から進んで 宝塚の伝統を継承する道を望んだのすね。
    それが若い宝塚ファンには古くさく感じられ 彼女の発言が疎ましいと思われたのは 想像できます。
    でも 北翔海莉は圧倒的な実力で 宝塚の根底である 清く 正しく 美しい舞台を魅せつけてくれました。
    以前zukamenさんが記事にされた
    日経新聞掲載の
    ねじめ正一の「埋める誇り」の新聞記事を もう一度読みました。
    埋める仕事は高い技術を要するわりに地味である。・・・・
    北翔海莉も実力派ゆえに 男役としては「埋める仕事」を担ってきたように思う。
    と同時に、それが彼女達の誇りであるようにも思える。
    by ねじめ正一
    北翔海莉の伝えたかった事が 少しでも 次の時代に伝わればいいな と思います。
    (まこっちゃん 宜しくお願いします・・)
    ムコさんへ
    こんなステキなコメント 御自分のブログに書かないと もったいないですよ〜

  5. zukamen より:

    ムコさん、こんばんは。
    「久々に宝塚に戻ってきたけど、北翔さんに気づくのが遅れた!と思っている人たちの憩いの場」にようこそ(笑)。
    そうなんです。なんだか僕と同じように最近北翔海莉の魅力に取り憑かれて観劇に戻ってきたり、初めて観劇したりする方たちが多くてビックリしています。
    メモリアルブックはとてもおもしろそうですが、アマゾンで発売される前に楽天で予約してしまったので、東京に送ってもらいました。「売り切れ」の恐怖がアタマをかすめまして。
    つまり、僕が読めるのは来年の正月です。でも、少し頭を冷やしたほうがいいのでそれでもいいかな、と。
    そうですね。昭和の大スターたちの舞台をずっと観て憧れていた僕としては、北翔海莉のような伝統的なトップスターの器のひとが出てきてくれてとても嬉しいです。それに気づくのが僕も遅すぎましたが。
    北翔海莉自身が「宝塚の夢」そのものなのかもしれません。
    ムコさん、ご自分のブログにももっとみっちゃんのことを書きましょう!
    さえぽんさんの仰る通り、コメントじゃもったいないです。僕も色々と教えていただきたいことがあるので。

  6. zukamen より:

    さえぽんさん、こんばんは。
    いつもコメントを残していただいてありがとうございます。
    北翔海莉の舞台に懐かしさを感じたのは、若い僕が昭和の舞台にかじり付いて夢を見ていたからかもしれません。
    古臭いかなあ…でも、伝統のよい部分はやはり継承していってほしいと思います。
    それが、彼女の実力を伸ばした意志をもたらしたのでしょう。
    彼女は「埋める仕事」を立派に果たしたと思います。だからこそ、寂しいけれど、僕は彼女の未来に希望が見えるのです。
    星組もこれから変わっていくでしょうが、北翔海莉がもたらしたものが芽を出すことを期待しています。

  7. ストレッチ友理子 より:

    こんばんは〜(╹◡╹)
    私も出戻り(笑)
    トップスターの千秋楽を観たのは、麻実れいさん以来でした。
    あの時、チケットがなかったのに、劇場まで行って、チケット譲ってください。と頭を下げ続けました。今は禁止されてるみたいですが、当時は、結構皆さんやっていて、高校生だった私は 生まれて初めての体験に心臓が破裂しそうでした。
    幸運にも 「あなたが一番真剣だったから」と声をかけてくださった方と3階席から観る事が出来たのですが、その日を境に 私の宝塚は終わりました。
    そして ホントにたまたま 仕事の取引先の方が宝塚ファンで 観たいものがあれば 取りますよ!と声をかけてくださった時が ガイズ!
    大地真央と麻実れい推しだったので、懐かしいな〜と思ってチケットを取ってもらい観に行き…ハマりました(笑)みっちゃんが あまりに素敵で…
    そう!みっちゃんは、どこか懐かしかった。私の青春の宝塚が一挙に蘇りました!
    ものすごい安心感。包まれてる感じ。
    私、麻実れいさんの遥くららさんを見つめる優しい顔が好きでね。
    みっちゃんにも それを感じたんですよ。
    正直、ガイズを初めて観た時は、礼真琴が相手役の方が良くない?って思ったんです。
    でも、3週間後にもう一度 観た時は、風ちゃんが ものすごく可愛くなってて、本当にビックリしました。
    その後の風ちゃんの変わりようは凄まじく、ヅカメンさんもおっしゃっていましたが、人ってこんなに短期間に綺麗になっていくんだ…とただただ感心しています。
    みっちゃんも ドンドン素敵になって。みちふうコンビは、みんなの記憶に残る最高のコンビですね!
    私もメモリアルブック買いましたが、みっちゃんは トーシューズを履いても すぐに立てるぐらい足の甲がバレエ向きとか(昔バレエやってましたが、なかなか立てないんですよ。痛いし)…その素材の良さを見抜いた審査員の先生方に感謝です。
    そして、努力を惜しまなかったみっちゃんを 心から尊敬します。
    宝塚を本当に愛して 組子の事も愛してるみっちゃんは、きっとこれからも宝塚を愛し続けるでしょう。だから私も 今回は これで終わりにせず、どの組も一回は、観に行きたいな〜と思っています。
    そうそう、ムコさんのブログ。私も読みたいのですが、タイトルを教えて頂けますか?すぐわかるのかな〜?

  8. ムコ より:

    ストレッチ友理子さま、
    zukamenさま横から失礼します。
    なんだか常連さんになっちゃって、呼び出されたのでやってきました^^;
    わたしも麻美れい様の退団公演はうっすらと記憶にあります。小学生でした。
    あの頃はまだファミリーランドの入園券を買ってから
    劇場の券を買う方式だったと思います。
    サヨナラなのにつまんなくて(笑 相手役が遥くららじゃなかったことに
    プチショックを受けたのを覚えています。
    研2くらいの一路まきさんが抜擢されて相手役になってましたよね。
    当時はプログラムに今のルサンクみたいな台本が全部載ってましたよね。今のキャトルみたいな店はなく、近所の温泉街の土産物屋で
    スターさんのブロマイドが売られていた時代ですね。
    (あと、チケットのサバキ制度が表向き禁止されたのはここ15年くらいじゃないかなと思います)
    そうです。みっちゃんとふうちゃんには、あの時代のゴールデンコンビの
    あったかさを感じました。
    CSもない、ビデオもなかった時代のうっすらと残る記憶
    ですが、あのあったかさがみっちゃんとふうちゃんにはあるんですよね。
    わたしが10年前にみっちゃんを見つけたと思ったときは
    こんなふうなトップさんになるとは想像つかなかったですが。
    あの包容力とおおらかさは、みっちゃん自身の優しい性格と、
    zukamenさんの仰る
    「彼女の実力をゆるぎないものにした努力、そしてそれを誇ることもなくさらに高みに向かって歩んで」きたから
    出てきたものだったんだなと改めて感じ入りました。
    あと、、、ちょ、ちょ、、っとビックリ笑
    わたしのブログはものすっごい気ままな更新しかしてませんので
    期待しないで下さい(笑
    こちらのコメントのURLってところにリンク先がありますけど。。

  9. ストレッチ友理子 より:

    ムコさん、ありがとうございます(╹◡╹)
    そして小学生なのに、すごい記憶力!流石です!
    私、実は 高校一年生の時に 音楽学校を受験し、最終面接までいったのですが…一次試験と違い 二次試験って、それはもうピリピリしてるし、「わたくしは通らせて頂くわ!」というような自信満々な人達ばかりで(笑)こりゃ、私の居場所はないな〜って、完全に萎縮しちゃって。
    面接が終わり ドアまで歩いてる最中に、履いていた黒のストッキングがビリビリに破れ、絶対落ちた( ̄▽ ̄;)と 確信したんですよ(笑)
    だから 何も知らないみっちゃんが よくあの雰囲気の中、いられたよな〜って思います。きっと芯が強いのでしょうね〜。
    ま、私の場合 やっぱり落ちたのですが(笑)そんなこんなで、なんだか気持ちも折れてしまい、真央ちゃん、たーこさん、確か同じような時期に 寿ひずるも辞めませんでした?とにかく好きなジェンヌさんが次々卒業発表。
    だから麻実れいさんのさよなら公演は、他の人の記憶があまりない(笑)たーこさんしか観てなかった。
    でも 一路真輝が 娘役をしたのは ボンヤリと思い出しました。そういやそうだった。
    宝塚って、本当に不思議な場所ですね。一度離れても きっかけがあれば、また夢中になって。
    そのきっかけをくれたみっちゃんに感謝です!

  10. zukamen より:

    ストレッチ友理子さん、こんばんは。
    麻実れいも包容力のある目ヂカラでしたね。ステキでした…。遥くららは歌はヘタクソでしたが、実に自然な芝居のできる稀有な娘役でした。
    北翔海莉のメモリアルブックは、予約して日本の実家に送ってしまいました。こればかりはちょっと早すぎの失敗。アマゾンで発売されるまで待てば、オーストラリアに直接送ってもらえたんですけどね。
    1月の1時帰国まで待たねばなりません。やれやれ。
    ムコさんのブログ、アップ数は少ないですが、ものすごく中身の濃い記事が沢山あります!

  11. zukamen より:

    ムコさん、またまたこんばんは。
    しかし、皆さん色々と「宝塚観劇の歴史」があってとても興味深いです。
    僕は大劇場のことは全く知らないし、あのころはまだ今ほど東京宝塚劇場の公演も多くなくて、ムコさんやストレッチ友理子さんの昔のお話はとても楽しいです。
    さて、ご自分のブログの更新は?
    確か「桜華に舞え」についてまだ続きがあると書いていらしたような気が…。

  12. zukamen より:

    ストレッチ友理子さん、またまたこんばんは。
    ええっ、音楽学校を受けて、しかも一次試験に受かっていらっしゃったとは!
    スゴイなあ。
    宝塚受験のテレビ番組は映像で見ましたが、皆真剣で大変だなと思いました。東の東大、西の宝塚音楽学校ですからね!
    寿ひずる!
    僕は彼女が大好きだったのですよ…今で言うクールビューティーで歌が上手くて。今はだいぶ太ってしまいましたが。