花組東京公演「ミー・アンド・マイガール」−25年ぶりの東宝劇場と明日海りおのビル

花組
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25年ぶりの東京宝塚劇場です。すっかり変わっていて、というよりお隣の高層ビルの建築現場が恐ろしく大きくて、一体何ができるのだろうと見上げてしまいました。
いまの日比谷シャンテがある場所には昔日比谷映画という映画館があって、僕の年の離れた従兄弟が支配人をしていました。僕の映画好きは彼から高校生にになったばかりのころずいぶんと無料チケットをもらったのが始まりです。妹はやはり宝塚の無料チケットをもらって僕より一足先にハマっていました。懐かしいけれど、すっかり様変わりをした界隈に驚いてしまいました。

入り口はそれほど大きくなく、しかも修学旅行か遠足か共学高校生の団体が3階席に上がって行くので、ものすごい混雑でした。何と言ったらいいのか、これは僕の覚えている「宝塚」ですね…つまり、今年行った劇場での公演(東京国際フォーラム、赤坂ACTシアター、KAAT)はどちらかというと遠征という形で劇場自体もいきなり新しく大きく、そして僕には全く未知の経験でした。ところが、東宝劇場は女性ばかりで熱気にあふれ、キャトルレーヴはブロマイドや本やDVDを買い求める客であふれ(いや、昔は名も無き売店で右側でしたが)、本当に「宝塚」の雰囲気なのです。
ただいま、東京宝塚劇場。

おお、それから先の記事にした「飲食はご遠慮願います」ですが、東宝劇場では僕が飛び込んだ5分前には、所々でまだペットボトルのお茶を飲むひとやおにぎりをほうばるひとがいて、なるほどここは飲食OKなのだなと納得しました。

そして前奏が始まり…僕はなんだか懐かしくて涙で目が霞んでしまいました。僕は剣幸とこだま愛の初演を見ているのです。舞台もさることながら、それを観ていた若かった僕のことが思い出されたのでした。

まず、明日海りおですが、僕は初めてこの男役トップを舞台で見ました。
華奢で美しく、伸びやかな歌声に力と同時に甘さもあり、芝居にも繊細な計算が見えて好感が持てます。

ただし、最初出てきたときにあまりにも猫背でガニ股…まるでチャップリンのよう、しかもセリフがよく聞き取れず困りました。僕が慣れていないせいでしょうか。もちろん徐々にそんな雰囲気は消え、天真爛漫なビルとなったころから僕もリラックスして舞台が楽しめました。

明日海りおのビルは、気のいいチンピラ下町っ子というよりお茶目な男の子という雰囲気を色濃く出していて、僕が思い出した剣幸のビルとは全く違うアプローチをしていたように感じます。剣幸のビルは涼風真世のジャッキーのお色気攻勢に負けそうになりながらかろうじて逃げていきますが、「やっぱり男だよなあ」と観客に思わせる、ちょっと楽しんでいる様子もうかがえました。明日海りおのほうは「遠い親戚のお姉さんにからかわれている男の子」のようで、僕はこちらも面白いなと思いました。

ただし、貴族教育を受け始めたあたりからビルの上流社会への意識は変わり、それに伴って姿勢と言葉遣いが改まってきました。この貴族の雰囲気がちらほらとかいま見えるころになると、明日海りおはもっと自然に自由に演じているように見えます。彼女の気品ある美しさと華奢な骨格が、どちらかというとこちらの第二幕のほうのビルに似合っているからかもしれません。

そう言えば、あの有名なサリーとの歌とタップダンスのシーンですが、こんなに楽しそうにほっぺたをピッタリとくっつけて踊っているのはこのコンビだけでした。もしかしたら背丈がちょうどうまい具合にほっぺたが合わさる位置(つまり花乃まりあが大きいということですが)だったのか、なんだかほのぼのとしてしまいました。

話は反れますが、僕は瀬奈じゅんヴァージョンのミー・アンド・マイガールを観たときに、ジャッキーの美しさにビックリしました。いや、そりゃ初めて観たときの涼風真世のセクシーなジャッキーに完全にイカれてしまったのは本当なのですが、この明日海りおのジャッキーの美しいことと言ったら…。本当に男役なのかと疑ってしまったくらいです。歌も上手いですが、奔放という点では結構脚を隠したりする仕草が返って初々しくてかわいらしかったです。他のジャッキーたちは、脚なんかもう堂々と見せびらかしちゃっていますからね。

さて、僕はこういう一本もののミュージカルで出てくるフィナーレ前のデュエットダンスが大好きです。なじみの美しい曲に合わせて踊る主役2人。僕の見間違いでなければ、このシーンで明日海りおにはリフトがありませんでした。いや、リフトしなければならないわけではありませんが、この明日海ヴァージョンを見る前に瀬奈じゅん、真飛聖、龍真咲のミーマイを観ていたので、覚えていたのです。もしかしたらカットしたのかもしれませんね。体調のせいでなければよいのですが。

ずいぶん長くなってしまいました。他の生徒さんの感想などは次の記事に続きます。
「出張の合間を縫った忙しい宝塚観劇ツアー」は早いところ書いておかないと細部を忘れてしまいそうなので。

 

 

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コメント

  1. ムコ より:

    久々の東宝。座席で飲食OKの日本の温泉街の演劇(笑
    を少し思い出すことのできる宝塚を体感できてよかったですね。
    みりおちゃんジャッキー、映像でしか見ていませんが
    確かにものすっごく可愛かったですね。
    光り輝いてたなぁと思います。
    みりおちゃんとかのちゃん、合わないとかファンの方は
    仰っていますが、背の高くないみりおちゃんに
    かのちゃんも頑張って合わしているんだなぁと思います。
    再演ものって、色々と比較されてはしまいますし
    コアなヅカファンからは「またー?」とか言われてしまいますが
    なんだかんだ言っても、再演されるだけのいいミュージカルだから、
    何回見ても見比べたりして楽しめますね。

  2. zukamen より:

    こんにちは、ムコさん。
    僕も明日海りおと花乃まりあが「合わない」という記事はいくつか読みました。
    うーん。明日海りおは歌は上手いですが、どちらかと言うと「アイドル」として熱心なファンがついていると思います。「アイドル」の常で、どんなひとが相手になっても叩くひとはいるんでしょうね。
    確かに「またー?」ですよね(笑)。
    でも、観ていて眠くなるような作品もオリジナルにはありますから、こうして再演されるのは世界中で愛されたミュージカルのクオリティーの高さかもしれません。

  3. maki より:

    zukamen様 お帰りなさいませ。
    私も「ミー・アンド・マイ・ガール」は宝塚大劇場で2回観ました。
    私は初めてだったので「またー?」はなかったのですが、再演物は比較されてしまって演じる側も難しいんだろうと思います。
    明日海りおさんは私が観劇した数少ない中でも上品な役柄の方がハマっていると思っていました。
    zukamen様同様、登場時の下町育ちのちょっとガラの悪い感じが弱いなと思いながら観てました。特に前作の「源氏物語」で光源氏をやった時は「綺麗だなあ」と思わずポーっとしてしまったのを思い出しましたよ(笑)。
    花乃まりあさんとのコンビは私は可愛らしくて好きです。ただ、花乃まりあさんは娘役にしては背が高いのと、明日海さんは「娘役泣かせ」とまで呼ばれるほど華奢で小顔な方なので合わないように見えてしまうのかなと思ってしまいました。

  4. zukamen より:

    makiさん、こんばんは。
    明日海りおは本当に綺麗ですよね…そして、歌がいい。
    ああ、でも「娘役泣かせ」というのはわかるような気がします。誰がなっても叩かれるのでしょうね。
    英語ではgood chemistryというのですが、日本語訳だと「相性がいい」とでも言いましょうか。僕はなんだかんだと言われても、この2人は相性がいいと思っています。あのミー・アンド・マイガールの歌とダンスは、誰もが口元がゆるんでしまうほど楽しかったので。