2005年「ゴールデン・ステップス」の湖月わたる、朝海ひかる、瀬奈じゅん

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羽山紀代美の振付家としての30周年記念公演「ゴールデン・ステップス」は、ダンス・リサイタルの副題のごとく、まさに彼女振付の名場面が余すことなく紹介されています。

2005年と言えば今から15年前、僕がまだ宝塚観劇から遠ざかっていたころのことです。ですから、もちろん実際に舞台を観たわけではありません。宝塚ファンから紹介されていたので、DVDを購入しました。たぶん今から4年前ぐらいのことだと思います。

 

3組合同選抜メンバーの豪華さ

 

3組合同ということで素晴らしいメンバーが揃っています。

まず、雪組は当時のトップの朝海ひかる。そして娘役トップの舞風りら。
星組からは、トップの湖月わたる、そして娘役トップはその年の8月に退団した檀れいがまだ在籍していたはずですが、この舞台には出演していません。
最後に月組からはトップの瀬奈じゅんと彩乃かなみが出演しています。
宙組は、当時どこかで舞台があったのでしょうか。専科からは、轟悠と初風緑が参加しています。

この錚々たるメンバーで、しかも時々ほんの少し登場する生徒さんたちがその後トップになったひとたち、または専科や組長として活躍しているひとたちとあっては、観ないわけにはいきません。

こちらのブログで場面と配役が全て記されていましたので、リンクしておきます。知らない生徒さんも沢山いますが、その後トップになった人たちも沢山いて目が二つでは足りないくらいです。

 

「ゴールデン・ステップス」|ROCK in TAKARAZUKA アルバム
このブログはホームページ 「ROCK in TAKARAZUKA」 の「公演アルバム」部分です。|「ゴールデン・ステップス」|ROCK in TAKARAZUKA アルバム

 

たとえば、若い北翔海莉が瀬奈じゅんの後ろにチラチラと見えて、何度も確認してしまいました。そのほかにも、あれ?壮一帆だ、涼紫央だ、龍真咲だ、先日退団した舞咲りんだ、とダンスに集中できないことも。黒燕尾の英真なおきも若く、きりりと踊っていました。

最初は雪組のタンゴ、そして星組のラテン、最後が月組のジャズと続きます。

 

「ジェラシー」の貴城けいと朝海ひかる

 

この「ジェラシー」は、1987年花組高汐巴との「デュエット」でしたが、大浦みずきが怪我で休演したため急遽瀬川佳英という男役が代役をつとめました。

そして、同じ年の雪組「ザ・レビュースコープ」では、平みちと杜けあきのペアでした。

退廃的な1900年代初頭のヨーロッパの雰囲気の中で踊る黒燕尾の男たちのダンスの悩ましさ。大変セクシーで、ここでは流し目が重要な役をはたしていますが、それが上手かったのはもちろん高汐巴と大浦みずきです。彼女たちの色気たっぷりの眼差しにやられてしまったファンも多かったと思います。
特に高汐巴の眼差しはどきりとするほどエロティックで、実はダンスでは大浦みずきのほうがはるかに華麗なのですが、それでも高汐巴の横顔の美しさは今見てもため息をつくほどです。

この高汐巴と大浦みずきの貴重な映像はDVDのオマケでついていますので、ぜひ観てください。

さて、今回は貴城けいと朝海ひかるで再現されています。
僕はどちらの舞台もナマで観ていないのであまり良く知らないのですが、朝海ひかるは特に退団後の「女性」としての役がとても自然で男役の影さえないところが印象的でした。たとえば、湖月わたるとの「わたるのいじらしい婚活」にも出ていましたよね。

その朝海ひかるの男役姿。どちらかというとフェアリータイプなのでしょうか、骨太というより清潔感のあるほっそりとした美少年というふうな風情があります。それがまた強い眼差しの貴城けいとの対照で、なんだかゾクゾクするほど宝塚的じゃないんですね。

オリジナルではこのあと娘役たちとのダンスがあるのですが、ここでは省略されています。この「ジェラシー」をふくらませて、ちょっと大人のストーリーを退廃的に作ってもらいたいと初めて観たときに思いましたが、その思いは今も変わっていません。

 

明るさとパンチの効いた星組の「ラテン」

 

こちらは退廃的な雰囲気をただよわせていた「ジェラシー」とは打って変わった太陽がギラギラ輝くようなラテンです。

実はこの場面のある1983年の「オルフェウスの窓」は僕も観ているはずなのですが、このダンスは残念ながら覚えていません。あのシリアスな物語「オルフェウスの窓」になぜラテンが?と思いましたが、だからあまり印象に残っていないのかもしれません。
本編では榛名由梨がクラウス役で専科から出演していました。

今回は湖月わたるを真ん中に、安蘭けいと真飛聖、そして柚希礼音が熱いラテンのダンスを披露してくれます。安蘭けいの歌はやはり聞かせますね。

そして、湖月わたる。このひとのオーラはやはり凄い。登場するだけで、舞台が広く感じられます。現役時代をナマで観てみたかったととても残念に思いました。

 

ジャズの月組と瀬奈じゅんに魅せられる

 

そして1985年の「ヒートウェーブ」から、あの名場面「Minnie The Moocher」です。
瀬奈じゅんはダンスの名手というイメージがあるのですが、なかなか歌も聞かせてくれます。

非常にカッコいいです。男臭いです。
僕は瀬奈じゅんというと最近の写真やインタビューでしか観たことがないので、こういう男臭い男役だったのかと、正直びっくりしました。
筋肉質で、羽山紀代美のダンスによく似合っているように思いました。

そして、さあ羽山紀代美お得意のあのダンスの動き。なんと言ったらいいのでしょうか。足は開き気味にスクワット、腕は前方に打ち下ろす。
宙組「アクアヴィーテ」にも出てきましたね。あのダンスの振りはあまりにも独特で、あれが出なければ羽山紀代美じゃないのですよ。

 

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コロナ騒動を抜きにしても、とにかく忙しくて身体を壊しそうになり、しばらく能動的な活動はお休みしていました。 つまり宝塚のDVDは観ていましたが、楽しんでいただけで何も書いていませんでした。オーストラリアの舞台の批評もここ最近は全てお断りして...

 

霧矢大夢の歌も素晴らしいです。そのあと黒燕尾のまま大空祐飛とのハーモニーを聞かせてくれます。この場面での後ろの男役たちの中に、北翔海莉、龍真咲、そして宇月颯もいたようです。宇月颯は流石にそのころは下級生で、どこにいるのかわかりませんでした。

北翔海莉、若いなあ…。
このころは順当に新人公演主役をこなしてそのままトップへの道を歩むかと思いきや、そのころはまだ端っこにいた龍真咲に抜かれてしまうのですよね。でも、それがなかったら退団直前の3作であれほどひとを惹きつけるトップとはならなかったのではないかと思いますし、それ以前の「メリー・ウィドウ」や「風の次郎吉」などの名作が生まれることもなかったでしょうし。人生とはわからないものです。

長くなってしまったので、第二部は次の記事にします。

 

「ゴールデン・ステップス」のDVDはまだ中古がある

 

残念ながら絶版になっていますが、今も中古DVDがいくつかあるようですので(そして安いです、2480円からあります)もしこの時代のトップたちの華麗なるダンスを観たいひとはぜひ探してみてください。一見の価値あり、です。

 

 

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