2005年「ゴールデン・ステップス」の黒燕尾群舞はため息が出るほど美しい

宝塚あれこれ
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宝塚OGの「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」の話が持ち上がって、少々中断してしまいましたが、「ゴールデン・ステップス」第2部の記事を続けます。

 

2005年「ゴールデン・ステップス」の湖月わたる、朝海ひかる、瀬奈じゅん
羽山紀代美の振付家としての30周年記念公演「ゴールデン・ステップス」は、ダンス・リサイタルの副題のごとく、まさに彼女振付の名場面が余すことなく紹介されています。 2005年と言えば今から15年前、僕がまだ宝塚観劇から遠ざかっていたころのこと...

 

男役たちの黒燕尾群舞と舞風りらの愛らしさに目が離せない

 

第2部は「ベルサイユのばら」のフィナーレから始まります。
男役の黒燕尾群舞は、羽山紀代美のお得意とするところで、そのフォーメーションの美しさにはため息が出ます。真ん中には朝海ひかる、両脇には壮一帆と立樹遥を従えていました。

この群舞での男役の名前を見ていたら、大湖せしると壱城あずさがいましたが、たぶん大階段の上のほうにいたのでしょう、僕には見つけられませんでした。そう言えば、大湖せしるは最初男役だったのですね。

朝海ひかるはこのあと懐かしい「パリの空の屋根の下」を歌い、舞風りらと踊ります。(群舞でダンスをしたあとによく息の乱れもなく歌えるものだと感心しましたが)

この小柄な舞風りらが、実に愛らしいのです。
朝海ひかる自身が華奢なひとですので、とてもよく似合っていてお人形のように麗しいペアになっています。

ここの娘役たちの裾を広がらせたダンスも大輪の真っ白な花が咲いたようで、美しい舞台でした。

 

「小雨降る径」は紳士と淑女を入れ替えたほうが…

 

そのあとすぐに僕の大好きな「小雨降る径」です。
湖月わたるの代表作のようなダンスで、彼女が役替りのオスカルたちと踊ったのは何年も前ですが、映像で見た妖艶なダンスに驚いたのを覚えています。

 

妖艶でダイナミックな湖月わたるのダンス
たぶん2005−2006年ごろの動画だと思うのですが、湖月わたるが「ベルサイユのばら」でアンドレを演ったときのデュエットダンスがあります。当時役替りで何人かの男役がオスカルになり、湖月わたるはその相手役でした。 フランスのシャンソンとして有...

 

ですから今回も湖月わたると朝海ひかるかな、と思っていたら完全に予想が外れました。

華奢な朝海ひかるが紳士で、ちょっと骨太な音月桂が淑女です。
いや、ホンモノの男性と踊ったら音月桂も淑女に見えますし、ダンスも冴えています。しかし、ここでは返って朝海ひかるがどうも男役に見えなくて困りました。音月桂が時々男役の動きになってしまうのもそれに輪をかけてしまったようです。

 

「チャイナ・ドール」安蘭けいの色気

 

このダンスのオリジナルは、湖月わたると紫吹淳でした。僕はこれを(観てはいけない映像)で観てしまったのですが、いやはや、あまりにもエロティックでかぶりつきとはまさにこのことでした。何よりもダイナミックなあのリフト。いくら細いとは言え、170cmはある紫吹淳を軽々と振り回す湖月わたるの力強さに参ってしまったのでした。紫吹淳の美しい脚にもため息をつきました。

そして、今回は水夏希と安蘭けいでそれが再現されています。

そして突然思ったのは、なぜここで湖月わたると安蘭けいで再現できなかったのかなあということでした。水夏希も悪くないのですが、リフトが少々危なげで大丈夫かなあと思ったからでした。

また紫吹淳の美脚もすてきでしたが、何より安蘭けいの女役としての色気に僕はまいってしまったのでした。ですから、ここで湖月わたるの男役としての力強さと安蘭けいの妖艶な美しさが重なったら、どんなに麗しいダンスになっただろうと想像したのです。

 

「国境のない地図」湖月わたると舞風りらの身長差デュエット

 

オリジナルはあの世紀のカップル、麻路さきと白城あやかです。麻路さきは歌こそ「あれれ」でしたが、そのダンスと立ち姿の艶やかさが目立つトップでした。

1995年星組 『国境のない地図』はその2人がフィナーレで見せたデュエットとリフトが話題にも上がりました。そう言えば、僕もひとつリフトについて記事を書いています。

 

男役のリフトとお姫様抱っこに感心する
稽古動画をつらつらと眺めていました。 舞台ではパッドを入れて肩幅も大きくし、ウエストも目立たないような衣装です。男役のひとたちがなるべく男性に見えるように補助しているのですから当然です。ところが稽古ではもちろん皆さん普段着ですから、どちらか...

 

その再現は驚異の身長差デュエット、公称174cm(後に175cmだと自分でバラしていた)湖月わたると159cmの舞風りらでした。
見ていてとても興味部かかったのは、湖月わたるの視線がお辞儀をせんばかりに斜め下に向けられていたことと、普段の娘役の「自分を低く見せる姿勢」(=腰をかがめたり足を折ったりする姿勢)ができない舞風りらが、背をまっすぐに精一杯背伸びしていたことです。こういうダンスはあまり見たことがなかったので、とても楽しかったです。

 

フィナーレの男役群舞と退団後のダンスについて

 

フィナーレは2001年宙組『ベルサイユのばら2001』からの黒燕尾群舞でした。
素晴らしいの一言に尽きます。これがなければ宝塚ではない、とまで言われる黒燕尾群舞はやはり羽山紀代美によって完成を見たのですね。これほどまでに揃ったフォーメーションは類を見ないと思います。

そしてこの「ゴールデン・ステップス」の魅力は、その舞台で素晴らしいステップを見せてくれる生徒さんたちもさることながら、その生徒さんたちの中でその後トップになった男役・娘役の2番手または3番手時代を見られることです。

そして驚いてはいけないのですが、僕は英真なおきがダンサーとして行き届いた軽やかな動きを見せていたことに感心しました。15年前ですから彼女もまだ若かりしころですが、それにしても専科となってからはダンスらしいダンスを見かけたことがありません。

ある程度年齢が行ってからも確かなダンス力を見せているのは、現役では寿つかさぐらいでしょうか。

宝塚OGとなったひとたちでは、さらに少ないです。よく見るのは湖月わたると朝海ひかるぐらいですか…。それまでダンスで売り出していたトップたちも、それを見せることはほとんどありません。歌えるトップとしてではなかったひとたちも、退団してからはなぜか「歌」に偏りがちで、ダンス好きな僕には残念でなりません。

そして、だからこそCHICAGOのような歌もダンスも見せてくれる宝塚OGミュージカルの登場を期待しているのですが…。

 

 

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